恒例のベストオンラインソフトに、今年は「うさぎさん」を選ばせていただいた。使い方がシンプルでありながら、描画や彩色、効果など、ペイントソフトとしての機能は十二分に揃っている点が、筆者の絵心をくすぐったからだ。
「うさぎさん」は、マスク機能を使って、線や面を潰さずスムースに彩色できるペイントソフトで、特に水彩風にやわらかくぼかせる「水彩ペン」や、絵の具を伸ばした感じに彩色できる「指」を使って、手描きのように描くことができる。
線描画はキャンパスに直接描き込む方法のほかに、元絵をスキャナで取り込むこともできる。ペン描画時の「線穴補正」といった機能もあり、少々雑に線を描いても滑らかにしてくれる。スキャナなどから取り込んだ場合でも、線画を「うさぎさん」の主線に変換してノイズを消す「線化」、主線の穴をふさいで線マスクにおける境界線を自動で正しくする「線穴補正」「黒ノイズ消去」などのきめ細かなサポート機能が充実しており、余計な手数をかけずに美しく描ける。
レイヤに指定できるマスクは「線マスク」「面マスク」「透明保護」の3種類。用途に応じたマスクを使えば、描画の主線を塗りつぶすことなく彩色したり、上位レイヤの描画をつぶすことなく彩色したりすることが可能だ。
レイヤは最大999枚まで扱える。複数のレイヤを使って主体、後景、前景を描き分けたり、塗り分けや効果を加えたりすることが可能。レイヤを合成したり外したりと、楽しみながら絵の出来具合をチェックできる。レイヤの削除や復帰も行える。
基本の描画ツールは「ペン」「水彩筆描」「指」が用意されており、水彩タッチの描画やぼかし彩色を行える。「描画パレット」を使って、作成したペンの色、太さ、濃さを確認できるのも、実際に絵を描いている雰囲気が味わえてよい。
主だった機能にはキーボードショートカットが割り当てられ、キーボードとタブレット(マウス)を併用することで、すばやく描画ができるようになっている。
データの読み込み/保存時のファイル形式は「うさぎさん」独自形式のUSAGIのほか、BMPに対応する。Susie Plug-inを導入すれば、読み込み可能な形式を増やすことも可能だ。
ついミスをしてしまっても、操作を直前の状態に戻せたり(Undo/Redo)、絵の一部をコピーしたり位置をずらしたりできるのがパソコン用ペイントソフトのよいところ。準備やあと片づけもいらず、気軽にお絵描きを楽しみたいときに使ってみてはいかがだろうか?