「PowerX StandbyDisk 4」は、Windowsで使用中のハードディスクの内容をそっくりそのまま、他のハードディスクにコピーできるバックアップソフトだ。バックアップ先のハードディスクには、元のディスクのパーティション構成を含めたすべての情報が複製されるので、コピー元のハードディスクが故障しても、バックアップされたハードディスクからそのまま起動して、元の状態とまったく同じ環境を復元できる。2台のハードディスクにまったく同じ内容を記録する使い方を「ミラーリング」や「RAID 1」などと呼ぶが、簡単にいえば「StandbyDisk 4」は、このミラーリングをソフトウェアで実現するものだ。最近は、標準でミラーリングをサポートするチップセット(パソコン)も多い。またわずか数千円の拡張ボードを使ってでも実現できる機能だ。「あえて別売ソフトを使う必要がない」と思う人もいるかもしれない。だが、「StandbyDisk 4」の凄いところは、ハードウェアのミラーリングのように、普段のディスクアクセスで常に「ミラー」を作り続けるのではなく、あらかじめスケジュールされた一定期間ごと──例えば1日1回など──にミラーを作ることだ。
この仕組みのおかげで、ユーザの操作ミスなどで誤ってファイルを削除してしまった場合でも、バックアップされた方のディスクから失われたファイルを復元できる。通常のミラーリングの場合にはリアルタイムで2台のディスクの内容が更新されるため、ユーザの操作ミスやソフトウェアのバグによるファイル消失には対応できないが、「StandbyDisk 4」の方式であれば、(次回のバックアップまでの間に更新されたファイルを除けば)失われる前の状態のファイルを取り戻すことができる。この仕組みが、普段パソコンを使う上で実に心地よい。
もちろん、直前のバックアップから変更された内容は復元することができない。この点ではハードウェアのミラーリングに劣るのだが、しかし、ハードディスクのクラッシュの確率と操作ミスでファイルが失われる確率とを考えれば、よほど注意深い人でない限り、後者の方がずっと高い。筆者の場合も後者であることは言うまでもない。つまりこのソフト、ユーザの操作をカバーする使い勝手のよいバックアップソフトに、さらにミラーリングの便利さを追加したソフトなのだ。
筆者は、「Standby Disk」を(前バージョンであるWindows XP/2000版も合わせて)もう何年にも渡って使用している。その間、うっかりミスで削除してしまったファイルを助けてもらった経験は数知れない。もちろん「本来の目的」であるクラッシュからの復帰も数回は経験があるが、とにかく信頼できるソフトなのだ。
今回のバージョンではWindows Vistaにも対応したが、筆者にとって、最もVistaへの対応を心待ちにしていたのがこのソフトだ。とにかく自信を持ってお勧めできるソフトなのである。