使い方の変化といえば、ブロードバンド接続ならではの注意点も生じてくる。それらの中でも最も大きなものが「セキュリティ」の問題だ。特に注意しなければならないのが、インターネットから自分のパソコンに対して侵入や破壊、あるいはデータの盗難が試みられる「アタック」という行為への対策である。
インターネット接続を行っている間は、自分のパソコンから世界中のコンピュータが見えるようになるわけだが、これは逆に考えれば世界中のコンピュータから自分のパソコンの存在がわかる、という状態にほかならない。もちろん、自分のパソコン上にWebサーバを置いてファイルを公開しない限りは、普通にアクセスしても、何もデータは表示されないわけだが、OSやその他のソフトに隠されている「セキュリティホール」と呼ばれる欠陥をうまく突けば、本来は見えないはずのデータが見えてしまったり、そのパソコンに侵入したりすることができてしまう。これは非常に危険な状態といえる。
インターネットに接続している間は、外から自分のパソコンにアタックされる可能性がある、という点ではダイヤルアップ接続もブロードバンド接続も変わらない。だが、使うときだけネットワークに接続するダイヤルアップと、常に接続された状態にあるブロードバンド接続では、その危険性は異なってくる。
限られた時間帯に限られた回線で接続されるだけのダイヤルアップ接続に対して、常時接続では、パソコンの電源が入っている間は、たとえワープロをしていようとゲームをしていようと、あるいはパソコンが使われていないときであろうと、その裏ではユーザが気づかぬうちに侵入することができる。しかも、万が一侵入された際には、ユーザがそれに気づいて対策をするまでの間は、侵入者はパソコン上を好きなように荒らすことができる。つまり、常時接続では侵入されたあとの危険度も大きいということだ。
とはいえ、いたずらに不安を感じる必要もない。こうした「アタック」に対抗するためのソフトウェアというのもちゃんと存在するからだ。ダイヤルアップ接続で接続時間をコントロールするソフトが必須であるように、常時接続が基本のブロードバンド接続では、こうした「セキュリティ強化ソフト」は必須と考えておいた方がよさそうだ。