この数年、趣味として写真を撮ることがだんだん少なくなり、それに引きずられるように、グラフィック関係のソフトも使い慣れたものに固定されていたのだが、そんな中で久々にハッとさせてくれたのが「PhotoStagePro」だった。そこで、今年最も印象に残ったソフトには「PhotoStagePro」を推したい。「PhotoStagePro」は、いわゆるグラフィックビューアの範疇に入るソフトだが、さらに細かくいえば、単なる写真の鑑賞というよりは、レタッチやプリントなどのためのチェック用ソフトという方が適切だろう。それを象徴しているのは、初期画面がExif情報の一覧表示になっている点だ。
多くのビューアでは、まずサムネイル(縮小イメージ)が表示されて、そこから画像を選ぶのに対して、「PhotoStagePro」では表計算ソフトのワークシートに似た画面に撮影日時やカメラの機種情報、シャッター速度や絞り、露出補正値といったデータが並び、撮影時の状況を確認しながら写真を選びたいときに助かる。もちろんこれら項目の見出し(項目名)部分をクリックすれば、簡単に並べ替えができるのも表計算ソフト譲り。従来のグラフィックビューアにはあまり見られなかった発想ではないだろうか。
この一覧表示にはサムネイルやヒストグラムも表示されていて、さすがにこれはちょっと小さすぎて見づらいのだが、マウスでポイントすればちょっと大きめのサムネイルやヒストグラムがポップアップで表示されるし、表形式ではないサムネイル一覧への切り替えも可能なので、従来型のスタイルを好む人でも問題はない。
写真をセレクトするためにはピントやぶれなど、細かい部分のチェックが欠かせないが、そのあたりの機能が充実しているのも特徴だ。Exifやサムネイル一覧の状態から【Enter】キーを押すことで写真の全体が表示され、さらに全体表示の状態でマウスのボタンをプレスしている間、そこを中心としてピクセル等倍に拡大表示される。プレスした状態からドラッグすることで、自由自在に細部のチェックができる。
また、クリックのたびに全体表示と拡大表示を切り替えるようにすることもできるし、キーボード操作では等倍のほかに2倍表示もワンタッチで行える。さらに、拡大表示の状態で【PageUp】キーまたは【PageDown】キーを押すことで、写真の四隅と中央を順に移動してチェックできるなど、細かいこだわりが感じられる。
そのほかにも、重要なExif情報やヒストグラムは、全体表示や拡大表示画面上にオーバーラップ表示してくれるし、マルチスクリーン分割機能を使って最大4枚の画像を同時に見比べることができるなど、「カメラマンが写真をチェックし、セレクトする」という視点で作りこまれているのが「PhotoStagePro」の大きな魅力だ。
これだけの機能と操作性を備えながらフリーソフトであるのも見逃せないポイント。金欠アマチュアカメラマンには実にうれしく、頼もしいソフトではないだろうか。