最近はWordやExcel、PowerPointといったビジネス系ソフトを使う機会が多く、ちょっと疲れ気味。はじめてパソコンを買い、ゲームやプログラミングなどに没頭していたころと比較すると、純粋にパソコンを楽しんでいない気がする。このように「ちょっと病んでいるかな?」と感じるとき、趣味や娯楽のジャンルに属するフリーソフトを使うと、とても癒され、ホッとする。筆者にとって「ぬり絵ビルダー」は、文句なしに楽しいソフトだ。その名の通り「ぬり絵をビルドする=作成する」ためのソフトで、デジタルカメラで撮影した画像や、インターネットからダウンロードした画像などを読み込み、輪郭を鉛筆で描いたような線描画で残し、ぬり絵やトレースに使える下絵を作成してくれる。
作成された下絵を好きなサイズの紙に印刷し、水彩絵の具などの好きな道具で彩色して、ぬり絵を楽しんだり、トレース(下絵の上に別の紙を置いて透かし、なぞって写し取る)に利用したりできる。新たに別の画像ファイルとして保存したり、ぬり絵に原画の色を薄く追加したりすることも可能だ。
今年、原稿を書くためにはじめて利用したが、操作性がよく、ひと目(ひと使い?)で気に入った。画像ファイルを読み込ませれば、あっという間に「ぬり絵用の下絵」が作成される。気に入った画像を元にして下絵を作成・印刷すると、感動すら覚える。絵の具やクレパス、ポスターカラーやペンなど、好きな道具で彩色すれば、世界にひとつしかない、オリジナル作品が完成する。
画像データを揃えれば、世界遺産のぬり絵、動物のぬり絵、花のぬり絵など、短時間で作成することが可能。適当な画像ファイルが見つからなければ、サンプルの画像ファイルを利用してもよい。
「ぬり絵ビルダー」は、左右2ペイン構成のメイン画面を持ち、左側に元絵となる画像、右側に生成されたぬり絵のプレビューが表示される。下絵の出来映えに満足できないときは「輪郭線の調整」「輪郭線の色合」スライダーを調整して、あらためて下絵を作成すればよい。「輪郭線の調整」スライダで輪郭線(絵柄)の太さ、「輪郭線の色合」スライダーで線の濃さを調整できる。スライダーを変化させると、リアルタイムでぬり絵のプレビューも変化するので、調整も楽だ。
輪郭線を太くすると全体が力強く描画され、立体的で生命力を感じさせる仕上がりになる。また、輪郭線の色合いを白に近づけると、繊細なタッチに仕上がる。調整したスライダー情報は、3種類まで保存しておくことが可能だ。
「ぬり絵ビルダー」では、元絵に単純な輪郭強調処理を施すのではなく、画像の小さな領域ごとに「ぬり絵として必要か不要か」を判断するアルゴリズムが使用されている。そのためイラストや線の少ない単純な写真だけではなく、花や風景といった自然画からもぬり絵を作成できるようになっている。
線のすっきりしたイラストやアニメ絵からぬり絵を作成するソフトが多いなか、「ぬり絵ビルダー」は、緻密に描き込まれたイラストや写真をぬり絵とすることが得意な「大人のぬり絵」ソフトといえる(もちろん、子ども用のぬり絵も作成できる)。特に、自分で撮影した画像をもとにぬり絵を作成すると感動するので、ぜひ、お勧めしたい。
小さな子どもがいる家庭などでは、情操教育のひとつとして利用することもできるだろう。もちろん、老若男女問わず、すべての世代で楽しめる。操作は簡単で、誰にでも安心してお勧めできる。2009年のベストオンラインソフトとしてご紹介する。