筆者が今年選んだベストオンラインソフトは「inksaver3」だ。その名の通り、インクジェットプリンタが消費するインクの消費量を抑えるソフトだ。個人ユーザにとって、年末のこの時期は、プリンタの活躍どきだ。いうまでもなく「年賀状」の作成に使用するためだ。「一年に一度、この時期だけプリンタを使う」などという人もいるのかもしれない。
しかし、いざ使ってみると実感するのが、昨今のインクジェットプリンタのインク消費の多さ。印刷する枚数にもよるし、印刷内容にもよるのだろうが、「ついさっき交換したばかりのインクが、もう空っぽになってしまった」などという経験のある人も決して少なくはないだろう。しかもこのインク、決して安くないものだけに、もう少しなんとかならないものかと感じてしまう。
「inksaver3」は、まさにそうした「すぐにインクがなくなる」という不満を「もうちょっと何とか」してくれるソフトだ。「inksaver3」を組み込むだけで、印刷時のインク使用量を自動的に抑えてくれる。しかも、どの程度インクの消費量を抑えるかは、ユーザの意思に応じて調整できるようになっている。
インク消費を抑えれば、当然だが印刷画質は低下するだろう。プリンタドライバには、インク消費を抑えつつ高速印刷ができる「ドラフトモード」なる印刷モードがある場合が多いが、それを使ったことのある人なら、画質の低下具合にがっかりしたことのある経験も多いのではないか。
だが「inksaver3」の「インク節約」は、そうしたモードとは一線を画している。特に写真画質では、インク使用量を抑えたとは感じさせない高画質で、確実にインクの消費量だけを抑えてくれる。どの程度消費を抑えるかは、パーセンテージで設定することが可能だし、セービングをする/しないはワンタッチで切り替えられる。このため「節約する/しない」で、印刷品質の差を確認するのも容易だ。しかも節約機能は、プリンタドライバとの間に割り込む形で起動するため、アプリケーションを問わず利用することが可能だ。
インクのセービング量は、あらかじめ基本となる節約量を設定しておけるほか、印刷のつど指定することも可能。この場合の節約量はパーセンテージで指定するが、実際にどの程度の節約が行われたかは金額で表示される。あらかじめ指定しておけば、節約金額が一定に達するごとにダイアログで確認メッセージを表示させることも可能だ。
たしかに「入魂の写真作品を印刷する」というのであれば、少しでも画質を確保したいと考えるのは当然だ。プリンタメーカーも、最良の印刷結果を得るためにはインクの節約なんて考えないでほしいと思っているかもしれない。しかし、所詮は大量に印刷する年賀状。「最高の1枚にはならずとも、それなりの画質で印刷できるなら、少しでもインクを節約できた方がいい」と思う人も多いはずだ。
「inksaver3」は、まさにそうしたユーザニーズがきっちりと反映されているソフトだ。プリンタの使用頻度が上がるこの時期だからこそ、もう一度注目したい──そんなソフトなのだ。