2016年の「ベストオンラインソフト」には、Androidアプリ版もある和風ミニアクションゲーム「サクラぶれいど」を選ばせていただいた。選定理由は、- 細部までよく考えられ、工夫された、シンプルでわかりやすいゲームシステム
- 絶妙なゲームバランス
- 棒人間のキャラクタとごくごく限られたメッセージだけで深いストーリーを感じさせるセンスのよさ
だ。ゲームの内容は、自キャラを操って敵と戦う、ステージ制のアクションゲーム。およそ1分程度でプレイできるミニステージが全部で三十七章(ステージ)用意されている。各章をまずはストーリーに沿って順番に挑戦するのが基本だが、苦手なステージは後回しにしたり、お気に入りのステージに何回も挑戦したりと、オープニング画面からステージを選んで、好きな順番でプレイすることもできる。操作は簡単。画面内をクリックすれば、自キャラの棒人間がそこまで移動する。地面に近い場所をクリックすると走り、空中をクリックし続けることで、すばやく空中移動することもできる。
敵である魔の者の弱点(青い炎)をクリックすると、自キャラが青い炎に向かって突進し、剣技によるダメージを与えることができる。攻撃力は強力で、ザコ敵であれば一撃で撃退することが可能。青い炎から青い炎へと正確にクリックして、敵を一気に殲滅できたときは実に気持ちがよい。攻撃前に右クリックをして“タメて”おくことで、より強き秘剣を繰り出すことも可能。タメはステージ開始時点では一段階しか行えないが、巻物の形をした「剣術の書」に触れると、最大五段階までタメることができるようになる。秘剣の種類は順番に、
- 轟(攻撃力がアップ)
- 撃(刀を飛ばして遠距離攻撃)
- 幻(幻を二つ出して分身する)
- 閃(ライフを一つ消費して発動し、左クリックしたポイントまで一直線に高速移動して、その間にある敵の体や攻撃をすべて貫通する)
- 絶(ライフを二つ消費してコンボを発生させる)
となっている。敵の攻撃は赤い炎。敵には、身体の一部に赤い炎を宿したものや、炎を飛ばしてくるものなど、さまざまなタイプがいる。赤い炎に自キャラが触れてしまうとライフを一つ失う。自キャラの命(ライフ)は画面右上にゲージで表示され、0になるとゲームオーバー。ライフは、桜の花の形をした「一族の印」に触れることにより、一つずつ回復させることができる。
自キャラとして使用できるのは「美影(みかげ)」または「江都主水(えどもんど)」(使用キャラは設定画面でいつでも切り替えられる)。「美影」を使用すると、「魔の者」の奇襲で、一族すべてを殺された女性が悲壮な決意で戦いを挑むストーリーとなる。「江都主水」では、「我こそは世界一でごわす」が口癖のお気楽な流れ者が「強き者が上に立つ」「売られた喧嘩は買う」の精神で敵と戦うストーリーとなる。タメの際の「ヨホォー」という掛け声も楽しい。
中盤以降のステージはかなり手強いが、ゲームバランスが非常によく、中毒性があるため、ついついチャレンジを続けてしまう。ボス以外の敵は、タメを入れれば一撃で粉砕できる爽快感もすばらしい。
上記の「物語編」のほか、物語とは関係なく課題にチャレンジできる「試技編」も7ステージが用意されている。手空きの時間に気軽にプレイできる、本年、筆者イチ押しのアクションゲームだ。