銀塩フィルムの化学反応を利用して撮影画像を記録する「カメラ」から、記憶素子に撮影画像をデジタルデータとして記録する「デジタルカメラ」が主流となるにつれ、多くのユーザの撮影スタイルが変わったように感じる。一番の変化は、撮影枚数を気にすることなく、気軽に撮影することが多くなったという点だろう。デジタルカメラによる撮影では、フィルムコストや現像コストなどを以前ほど考える必要がない。ということで、私もデジカメを持ち出すと、1日で200〜300枚程度は撮影してしまう。露出や絞り、アングルやシャッタースピードなど、さまざまな設定を行い、じっくりと撮影することもあるが、AUTOで次々に撮影することも多い。撮影した画像はフォルダを作成してハードディスクにコピーし、メモリ内の画像は消去してしまう。
前置きが長くなったが、ランニング仲間との親睦や、職場旅行などで撮影した多くの画像を、関係する仲間と共有して楽しむためのツールを探していた。以前はクラウドやWebページに公開したり、サムネイルを並べて印刷したりしていたが、コラージュ画像を作成できる「Collagerator」に出合った。英語版のソフトだが、操作に悩むことなく使いこなすことができる。「コラージュ」とはフランス語で「糊付け」という意味で、新聞の切り抜き、壁紙、写真など、バラバラの素材を組み合わせて、壁画のような作品を作成する際の現代絵画技法である。
「Collagerator」を利用すると、素材となる複数の画像を台紙上にランダムに配置し、フレームや影を付加して、オシャレなコラージュ画像を作成できる。試しに、職場旅行で撮影した画像を素材にコラージュ画像を作成し、仲間にお披露目してみると、驚かれ、また喜ばれた。
「Collagerator」を使って、コラージュ画像を作成する手順を説明しよう。
まず、作成するコラージュ画像を並べる「台紙のサイズ」、台紙の置き方「縦向き・横向き」、素材画像の「配置パターン」を指定する。「台紙のサイズ」は、2×3インチ(Wallet)から20×30インチ(Poster)まで21種類のサイズが一覧表示され、選択して指定できる。22番目の指定には「Custom page」が用意され、ユーザがサイズを指定することも可能だ。
「配置パターン」は、「Photo Drop(写真を床に落としたような無造作な配置)」「Photo Drop on black(写真を床に落としたような無造作な配置で、背景が黒)」「Black border(隙間なくピッタリ敷き詰める)」「Mosaic(素材を重ねずに並べる)」「No turns(縦・横、きれいに並べる)」から選択して指定する。
次に、コラージュを構成する、素材画像を指定する。右ペインの「+」ボタンをクリックして指定するが、エクスプローラなどで複数の画像を選択し、ドラッグ&ドロップすると便利だ。読み込める画像形式はBMP/GIF/ICO/JPEG/MNG/PBM/PGM/PNG/PPM/TGA/TIFF/XBM/XPMと幅広い。素材画像を指定すると、プレビュー画面にコラージュ画像が表示される。
素材画像は、ドラッグ&ドロップで好みの位置に移動したり、ボーダーにマウスをポイントして、画像の回転や大きさを変更したりすることが可能。素材画像を右クリックして「Bring to Front」や「Bring Forward」を選択し、素材画像の重なり具合(表示順序)を変更することもできる。
このように、コラージュを構成する個々の素材画像が「Collagerator」によってランダムに配置されたのち、マウスで自由に移動、拡大、回転、装飾を行えるのが特徴だ。
ここまでの操作でコラージュ画像は完成しているが、好みに応じて装飾を加えることもできる。右ペインの「Theme」タブを利用すると、素材画像に影やフレームを付けて、おしゃれな印象にすることができる。「Shadows(影)」メニューで、素材画像のシャドウエフェクトの有無と影の色、アングル、影との距離、ぼかし具合を指定したり、「Frames(フレーム)」メニューで、素材画像のフレームの色や幅を指定したりできる。そのほか、「Arrange」メニューで素材画像間のスペースを調整したり、「Background」メニューで背景色を指定したり、背景をグラデーション化したりすることも可能だ。
完成したコラージュ画像は、コラージュデータとして保存し、再編集可能にしておいてもよいし、BMP/ICO/JPEG/PNG/PPM/TIFF/XBM/XPM形式で書き出すこともできる。書き出す際、画像サイズや解像度を設定することも可能だ。
「Collagerator」を使うまでは、単調に写真を一覧印刷し、焼き増しの希望などを募っていた。「Collagerator」を利用するようになって、作成したコラージュ画像がほしいというリクエストもあり、デジタルカメラの撮影画像の利用方法が深まったと感じる。コラージュ画像をクリスマスカードや年賀状に利用するなど、活用場面は多いと思う。非常に簡単に使えるツールなので、ぜひ、使ってみていただきたい。