インターネット上での会員登録やWebメール、インターネットバンキング、ネットトレーディングなどなど……、インターネットを使い込むほど、ID/パスワードを設定し、ログオンして利用する認証場面が増えてくる。いくつのID/パスワードを使っているのか、思い出せないほどだ。当初、筆者はID/パスワードの安全性を考え、「記憶していた」。しかし、ID/パスワードが10を超えた時点で音を上げた。定期的にパスワードを変更してもいたが、それもできなくなってしまった。同一のID/パスワードにまとめようかと弱気になりかけたが、危険性が高まるのですぐに却下し、紙のノートにサイトのURL、ID/パスワードなどを書き、引き出しに鍵をかけて保管した。しかし、面倒でやめてしまった。
次にWordを利用して、サイト名、ID/パスワードなどを書いたドキュメントを作成し、パスワードを設定して保存した。利用時にパスワードを入力してファイルを開き、ID/パスワードなどをブラウザにコピー&ペーストしていたが、いまひとつ使い勝手が悪い。
「そろそろ本気でID/パスワード管理ソフトを探そう」ということで出合ったのが「ID Manager」だ。本当に便利なソフトでお勧めだ。
「ID Manager」は、エクスプローラのようにツリービューを表示し、関連するグループごとにフォルダを作成し、サイトごとに項目名をつけてID/パスワードを登録できる。ログオンするときは「URLを開く」ボタンをクリックしてサイトにアクセスし、入力フォームにフォーカスを移す。「一括貼り付け」ボタンをクリックすれば、自動的にID/パスワードが入力される。便利さは圧倒的だ。
登録は簡単。「新規フォルダの作成」ボタンをクリックして、「Title」に好きなフォルダ名を入力する。次に「新規項目の追加」ボタンをクリックして、「Title」「Account ID」「Password」に、登録したいサイトの名前、ID/パスワードを入力する。「URL」にURLアドレスを登録しておけば、「URLを開く」ボタンのクリックでサイトにアクセスできるので、ここも入力しておくとよい。あとは、先述した手順で利用すればよい。エクスプローラのように操作に慣れた環境で、ID/パスワードを管理できるのも評価したい。
ID/パスワード以外に、追加項目2個、シリアルナンバー、URLアドレス、メールアドレス、ファイルパス、日付情報、コメントなども登録できるので、URLアドレスだけを登録しておき、「お気に入り」の代わりに「ID Manager」を利用することもできる。常に「ID Manager」からサイトを開くようにすれば、フィッシング詐欺に引っかかることもない。最大10,000個までID情報を登録可能なので、実用上、無制限といえる。
初期状態では、「ID+TAB+PASSWORD」をブラウザに送ることで、IDとPASSWORDの入力フォームが並んだ一般的なログイン画面に対応するが、それ以外の情報が必要なサイトにも対応する。例えば、デルタ航空のマイレージ会員ページでは「スカイマイル会員番号」「PIN」「姓(名字)」という三つのデータ入力が求められるが、ID欄にスカイマイル会員番号、パスワード欄にPINを入力し、続いて二つ用意されている追加項目に姓(名字)を入力する。次に「一括貼り付けのカスタマイズ」で、「ID+TAB+PASSWORD+TAB+追加項目1」を指定すればよい。さまざまなキーを一覧から選択指定することが可能で、多様なサイトに対応できる。
利用時に他人の視線が気になる場合は、「マスク表示」機能を利用すればよい。ID/パスワード、追加項目二つ、シリアルナンバー、URLアドレス、メールアドレス、ファイルパス、日付情報、貼り付けタイプをアスタリスク「*」で隠すことができる。
パスワード自動生成機能により、セキュリティを高めることができる点も魅力。「パスワードを忘れてしまいそう」とか「一つひとつ異なるパスワードを設定すると、入力時に間違えそう」といった理由で、ID/パスワードを同一の文字列に指定していないだろうか。その場合、ID/パスワードが漏れたときに、個人情報が筒抜けになってしまう危険性がある。
パスワード自動生成機能は「英大文字/小文字」「数字」「記号」などをランダムに組み合わせ、最大128文字までの指定文字数でパスワードを生成してくれる。ID管理は「ID Manager」にまかせられるので、複雑なパスワードを設定しても問題ない。パスワードを生成したら、クリップボード経由で利用すれば設定もスムーズに行える。パスワード生成は一歩進んだパスワード利用であり、ぜひ、お勧めしたい。
筆者はネットショッピングを週1回は利用するが、そのときにも「ID Manager」は重宝している。「ID Manager」には「ユーザ情報」を登録しておくことができるので、ネットショッピングや懸賞サイトなど、一時的に利用するサイトで、氏名、ふりがな、メールアドレスや住所、電話番号などの情報を「ID Manager」からスムーズに入力している。
「ID Manager」自体のセキュリティも安心だ。「ID Manager」自体のパスワード設定をはじめ、登録した情報の暗号化保存、一定時間ごとの自動保存、バックアップファイルの自動作成など、さまざまなセキュリティ対策機能を備えている。ちなみに登録情報は、ID Manager形式/CSV形式/XM形式によるインポート/エクスポートが可能。印刷することもできる。
FTPサイト経由でのデータ共有も可能だが、USBメモリなどに「ID Manager」本体ごと格納して利用できるので、筆者は、指紋認証機能付きUSBメモリに「ID Manager」を保存して利用し、外出先で利用している。
「ID Manager」を利用すれば、ID/パスワード管理が安全に行えるようになるとともに、スムーズにサイトへログオンできるという、使い勝手の改善ももたらされる。パスワードを複雑なものに改善すれば、より一層安全性が高まる。ぜひ、導入をお勧めしたい。