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「ブロードバンド&ADSL」


ブロードバンドとは
  • ブロードバンドとは
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  • ブロードバンド接続の種類
  • ブロードバンド接続の制限
  • ブロードバンド接続の制限

    こうしてみてみると、ブロードバンド接続はいいことばかりのように思えてしまうが、欠点はないのだろうか。従来に比べると圧倒的に低価格であるからには、なにか裏(?)があるかもしれない。そこで、ここではそれらについて説明しよう。

    ベストエフォート

    これまでに説明してきたブロードバンド接続は、これまでのダイヤルアップ接続に比べれば、どれも非常に高速だ。そのため、どの方式を選んでもこれまでよりはずっと快適な環境が得られる。ただちょっと注意したいのは、ここに挙げた通信速度というのは、あくまですべての条件が整ったときの最大値に過ぎないという点。例えばADSLだと、電話局からの距離が遠くなると速度が低下する場合もあるし、また他のサービスの場合でも、他のユーザが同時に大量のデータ送信をしたりすると、速度が落ちることもある。

    この種の低価格な個人向けサービスでは、利用者すべてに対して、常に数字通りの最高性能が出るということは保証していない。「できるだけ速度が出るように努力はするけれども、仮に最高性能が出なかったとしても、そこらへんは勘弁してね」という契約形態なのである。人によって高速だったり、あまり速度が出なかったりするというのはなにか不公平な印象はあるが、結果として低価格が実現されているのだからある程度は許容するしかないだろう。こうしたサービス形態のことを一般に「ベストエフォート型」と呼ぶ(「きちんと保証しますよ」というサービスは「ギャランティ型」と呼ぶ)。

    アドレス割り当て

    常時接続が可能になってくると、Webページを見るだけではなく、自分から情報を発信する「Webサーバ」を構築することもできるようになってくる。ただ、個人向けのブロードバンドサービスの場合、必ずしもこうしたサーバを作れるとは限らない。というのは、サーバを特定するための「IPアドレス」の割り当てに制約がある場合があるためだ。

    自分でサーバを立てるには、世界中どこからでも見られるよう「グローバルIPアドレス」と呼ばれるアドレスが最低1個は必要となる。通常、IPアドレスは、プロバイダによって割り当ててもらうのだが、低価格なサービスの場合、割り当てられるIPアドレスが「プライベートIPアドレス」と呼ばれる、そのプロバイダ内部でだけ有効なアドレスである場合がある。こうした場合、プロバイダの外からはそのマシンにアクセスできないため、サーバを作ることができない。

    また、グローバルIPアドレスを割り当ててくれるプロバイダであっても、割り当て方法に「動的割り当て(DHCP)」と呼ばれる方法が使われている場合には、いつも決まったアドレスというわけではなく、時にはアドレスが変更になることもある。IPアドレスというのは、電話番号と一緒で、他人から見るとそのマシンを特定するための唯一の目印だ。これが時々変わってしまうとすると、そのマシンをアクセスするのはかなり大変になる。このため、こうした方式でアドレスを割り当てる場合にも、サーバを立てるのは難しい。

    ブロードバンド接続で、外部に公開するサーバを立てるためには「グローバルIPアドレス」を「固定的」に割り当ててくれるプロバイダを利用するのが近道となる。ただ、こうしたプロバイダはそれほど多いわけではないので、自分でサーバを立てることを検討している場合には、こうした点も調べなければならない。

    接続台数

    接続が高速になってくると、ひとりで回線を利用するのはちょっともったいない。「複数のパソコンを接続して家族で利用したい」という要求も出てくるだろう。ただし、これにも条件が加わる場合がある。

    まず第一に、プロバイダが利用者に割り当ててくれるIPアドレスは、多くの場合、ひとりの利用者に対して1個だけであることが多い(複数割り当てが可能な場合もある)。IPアドレスは1台のPCに対して1個必要なので、この場合には、1個のアドレスを2台のPCで分け合うなどの工夫が必要となる。これは「NAT」や「プロキシ」と呼ばれる機能を使えば解決できる。こうした機能は市販のルータにも内蔵されているし、PC上のソフトで実現することもできる。

    問題は、こうした機能を用いて複数のPCを接続することを、契約上認めないプロバイダが存在することだ。契約上複数のPCの接続が禁止されている場合、仮に技術的には可能であったとしても、それがプロバイダ側に知られると、最悪の場合、契約を解消されてしまうことも考えられる。複数のPCを接続して利用する可能性がある場合には、プロバイダやCATV会社と契約する前に、こうした制限事項がないかどうかをよく確認することが必要となるだろう。

    ここでは、ブロードバンド接続とはどういうものか、どのような種類があるのかについて説明した。毎月定額かつ低価格で高速な常時接続が楽しめるのがブロードバンド接続のメリットというわけなのだが、実際に契約しようと考えると、もうすこし細かいことを考慮する必要が出てくる。

    例えば、新たに接続を行う場合には、新規契約料や配線工事費、接続に必要となる機器の購入など「初期投資」はどうしても必要となる。また、いくらブロードバンドがよいことはわかっていても、残念ながら日本全国どこででも利用できるまでには至っていないというのが現実だ。そこで、「フレッツ・ADSLでブロードバンド」では、実際にブロードバンド接続を行う際に考えなければならないことについて、もうすこし具体的に詳しく見ていく。

    (TEXT by 天野 司)


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