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ブロードバンド応援団

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「ブロードバンド&ADSL」


ブロードバンドとは
  • ブロードバンドとは
  • ブロードバンドのメリット
  • ブロードバンド接続の種類
  • ブロードバンド接続の制限
  • ブロードバンドのメリット

    ブロードバンドと従来方式の違い、「高速」「常時接続」「定額」という三つは、そのままブロードバンド方式が従来方式に対して優れている点、つまりメリットと考えることができる。

    高速

    まずブロードバンド方式は、モデムやISDNといった従来方式に比べると、圧倒的に高速な接続ができる。ネットワークの通信速度を示す単位には通常「bps(ビーピーエス)」という単位が使われる。これは、コンピュータのデータ量を示す最小単位である「ビット」を1秒間にいくつ伝送できるかという意味で、「Bit Per Second」の頭文字をとって「bps」と書く。さらに1,000bpsのことを1kbps(キロビーピーエス)、1,000kbpsのことを1Mbps(メガビーピーエス)とも呼ぶ。

    パソコンで使われる文字は、ABCなどのアルファベットの場合は8ビット、ひらがなや漢字は16ビットで1文字分だ。モデムとISDNの速度はそれぞれ56kbps、128kbps(マルチリンクの場合)が最大であるので、漢字に直すとそれぞれ1秒間に3,500文字、8,000文字程度のデータを転送できる計算になる(いずれも理論上の値)。これに対してブロードバンド接続の場合、方式によって多少の違いはあるものの、だいたい512kbpsから6Mbpsくらい、FTTHにいたっては100Mbpsなどという桁違いに高速なものもある。モデムやISDNと比較すると、実に4倍〜100倍もの差となる。

    こうした速度の差は、例えばVectorのサイトからソフトをダウンロードする場合にその違いを実感できる。仮に1MBの容量のソフトをダウンロードする場合、かかる時間を比較すると表のようになる。これはあくまで計算の上での話で、実際にはもうすこし差は小さくなることが多いのだが、それでも圧倒的な差だと思わないだろうか。

    モデム(56kbps)142秒
    ISDN(64kbps)126秒
    ISDN(128kbps)63秒
    ADSL(1.5Mbps)5秒
    ADSL(8Mbps)1秒
    (いずれも理論値)

    ただ、待ち時間が違うだけならば、ちょっとくらい待ってもかまわない、という人もいるかもしれない。しかし通信速度の差は、単に待ち時間だけの差にとどまらない、より大きな差を生むこともある。例えばインターネット上で放送されているテレビやラジオなどの「ストリーミング放送」と呼ばれるサービスを利用する場合だ。

    ストリーミング放送は、インターネット上のサーバから送られてきたデータを、受信しながらその場で再生する。通信速度が速ければ、同じ時間でも大量のデータを受け取ることができるので、画質や音質はその分向上する。逆に通信速度が遅いと、動画はギクシャクして画質も悪いし、音だって途切れがちになる。通信速度が遅くても、いったんすべてのデータをダウンロードしたあとに再生すれば、きれいに再生することは可能だが、最近のストリーミング放送では、データをダウンロードして、あとから再生するといった使い方を許してくれない場合が多い。

    つまり、通信速度が遅いせいで、他の人たちが観たり聴いたりできるものが自分だけ楽しめなくなってしまうこともあるということだ。不公平な気もするが、現状では、そうなっているのだから仕方ない。

    つまりブロードバンドが持つ「高速」というメリットは、単にダウンロード時間が長い・短いという差だけではなく、そもそものインターネットの楽しみ方自体に差をつける可能性もあるということだ。

    常時接続

    常時接続というのは、文字通り「常に接続されている」という意味だ。モデムやISDNなどの従来方式の接続では、インターネットを使う場合には必ず、プロバイダに電話をかけて接続する「ダイアルアップ」作業が必要であった。これに対してブロードバンドの場合、ダイアルアップという概念は存在しない。いついかなるときでも、1日24時間、ずっとつながりっぱなしなのである。

    これまでの方式でも、ダイヤルアップルータという機器を使えば、特に意識しなくても自動的にダイヤルアップを行ってくれる。利用者から見て余計な手間はかからないため、「常時接続」的な使い方はできていた。ただこの場合でも、一度ダイアルアップするごとに電話料金が1度数かかるので、利用者が意識しないところでダイヤルアップが繰り返された結果、電話料金が非常に高額になってしまうこともある。

    さらにダイヤルアップの場合、利用者が混み合ってくると「話中」でつながらないこともありえる。いざ使おうと思ったときに、プロバイダが話中でいつまで経ってもつながらない、なんてことになってしまったら興ざめだ。

    ブロードバンドなら、電話のように話中は存在しない。いつ使っても「つながっている」状態なので、パソコンさえ起動してしまえばいつでもインターネットにアクセスできる。定期的にメールが届いていないかどうかを調べるような場合にも最適だ。さらに、インターネットを使っている間は電話が使えなくなったり、キャッチホンが入って接続が切られてしまう、といったことがないのも大きなメリットといえるだろう。

    定額料金

    接続している時間や転送するデータ量にかかわらず、かかる料金が一定である料金体系のことを「定額接続」と呼ぶ。これまでのモデムやISDNの接続では、たとえプロバイダに支払う料金が月額固定であっても、電話料金だけは、接続した時間によって支払いが増えていっていた。こうした料金体系を「従量制」と呼ぶ。

    ブロードバンド接続の場合、そのほとんどが定額方式の料金体系となっている。ADSLで接続した場合には、プロバイダのほかにNTTにも回線接続料を払う必要があるのだが、こちらも電話とは違って料金は定額方式だ。つまり何時間使おうと、どれだけ大量のデータをダウンロードしようと、支払う金額は常に一定というわけ。これまでのように電話料金を気にしながら使う必要はない。

    もっとも、いくら定額でも、その額があまりにも高ければ意味はない。例えば月額数万円を支払うのであれば、これまでにも定額で常時接続というサービスはあったし、速度が遅くてよいのであればフレッツ・ISDNのような定額サービスもあった。なにもブロードバンドだけが定額接続というわけではない。だが、ブロードバンドの画期的な点は、これまでよりもはるかに高速な回線を、個人でも支払い可能な低価格で、しかも定額で利用できるという点にある。

    実例を挙げて見てみよう。ISDNを使った定額接続「フレッツ・ISDN」を使って「OCNダイアルアクセス『フラットプランGold』」を使った場合、月あたりの支払額は4,750円(2001/12/1より)になる。このときの速度は64kbpsだ。これに対して「フレッツ・ADSL」でプロバイダを同じくOCNにした場合、かかる費用は月額で4,850円(2001/12/1より)だ。つまりわずか100円しか差がないことになる。にもかかわらず、このときの速度は1.5Mbps、つまりフレッツ・ISDNの場合の23倍だ。さらに同じOCNでも、フレッツ・ADSLではなく、ACCA(アッカネットワークス)のADSL 8Mbps回線を使う「OCN ADSLサービス 8M(A)」ならば、なんと月額3,480円になってしまう。

    ダイヤルアップ接続している人の中には、「私は月に6,000円もかからない」という人もいるかもしれない。でもそういう人は「従量制」である接続料金を気にしていて、接続時間を短く抑えるように工夫をしていないだろうか? 常時接続であれば、そうした工夫とはまったく無縁であるし、その上、通信速度だって10〜20倍程度もある。使い勝手が向上することを考えれば十分に安い。ブロードバンドの「定額接続」はまた、「低額接続」でもあるのだ。

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