2009年のベストオンラインソフトには、ストーリーやバトルシステムをはじめ、さまざまな点でクォリティの高かった「KILLZVALD〜最後の人間〜」を選びたい。「KILLZVALD」は、第8回ベクタープロレジ大賞・ゲーム部門受賞作「VAZIAL SAGA(ヴァジアルサーガ)〜愚民化戦略〜」を制作したゲーム制作集団「StudioGIW(スタジオギウ)」の最新作。拠点で仲間たちを編成し、迷宮でリアルタイム戦闘を行う、SLG要素を含んだRPGだ。舞台は地上に住む生物が絶滅した世界、主人公は人類最後の生き残り。プレイヤーは主人公「氷虎」となり、永遠の命を持つといわれる人工生命体「月人」たちとともに、人類の復活を目指して戦うことになる。
物語は、アラナダ地下幽室で牡羊座の月人「アリエス」に見守られながら主人公が目を覚ますところからスタートする……が、なぜか主人公は裸の状態。愛らしい容姿のアリエスに温められているという、魅惑のシチュエーションからはじまる。しかも、アリエスの「もう、お身体は大丈夫でしょうか」という問いに「まだ冷える」と返すと、続けて添い寝してもらえる。あまりに唐突な展開に、ゲーム冒頭から思わず笑ってしまった。“拠点でパーティを編成して、迷宮でリアルタイムバトルを行うSLG+RPG”という複雑そうな戦闘システムに少々躊躇していたが、このオープニングで緊張がほぐれたのも事実だ。このほかに、アリエスが索敵用特殊スキル「ムーンアイ」を発動させる際、主人公と唇を重ねなければならないという驚きの設定なども用意されている。
主人公と戦う月人は全部で12人。どのキャラクタも魅力的で、個性豊かな月人たちが自分(主人公)を慕ってくる様子は非常に微笑ましかった。個人的に思い入れが深かったのは、牡牛座の月人「タウロス」。クールかつ真面目な性格をしているが、主人公のために毒味をして腹痛に襲われたりとおちゃめ(?)なところもあるイケメンボーイだ。タウロスのキャラクタを気に入るあまり、戦闘でも能力などを度外視して彼を重点的に使っていたように思える。
キャラクタはフルボイス仕様となっており、声優に日笠陽子さん、植田佳奈さん、竹達彩奈さんといった豪華な人気声優が起用されている点も魅力のひとつ。甘い声でなにかと主人公の世話を焼くアリエス役の日笠さんや、関西弁で気っぷのいいテンビンを演じる植田さんたちの演技にも注目していただきたい。日笠さんは、イメージソングも歌う予定で、楽曲は2010年に発表されるとのことだ。
「KILLZVALD」において、個性豊かなキャラクタと同じくらい魅力的なのがバトルシステムだ。ゲームは「アラナダ地下幽室」という拠点で戦略や戦術を練り、その後「地下迷宮」で探索および戦闘を行うという流れになる。バトルはリアルタイム形式となっており、非常にテンポよく進行する。戦闘システムの中で、特に特徴的なのが「月人武器ツヴァルド」だ。これは月人を武器へと半封印し、その武器の能力を大幅に向上させる法術のこと。攻撃、防御、命中、回避の上昇に加え、武器の重量も軽減されるため、攻撃と移動の速度も上昇し、さらにツヴァルドした月人のスキルも反映されるため、非常に使い勝手がいい。このシステムを使いこなすことができれば、まず戦闘で行き詰まることはないだろう。最初は、膨大な情報量と複雑なシステムに戸惑うが、一度プレイしはじめるとこのテンポのいい戦闘が“くせ”になるので、ぜひ一度体験していただきたい。
無料体験版では、エリア11までプレイすることが可能。体験版のセーブデータは製品版への引き継ぎが可能となっており、体験版の最後には製品版で使用可能なレア武器が手に入るパスワードも公開される。まずは体験版をプレイして、ぜひ「KILLZVALD」の魅力に触れてほしい。