2009年のベストオンラインソフトとして「お忍びリネーム」を取り上げさせていただきたい。エクスプローラやファイル保存ダイアログからのリネームを補助してくれる、常駐タイプのソフトだ。通常、エクスプローラなどからリネーム操作を行おうとすると、拡張子を含むファイル名全体が変更対象として選択された状態になる。しかし、ファイルの拡張子を変更するケースは、さほど多くない。拡張子の変更が不要なときは、新しいファイル名を付けるときにあらためて拡張子(前と同じもの)を入力するか、選択範囲を拡張子を除いた部分(ベース名)だけに変えて、やり直すことになる。
この「選択範囲を拡張子を除いた部分だけに変え」る操作を自動的にやってくれるのが「お忍びリネーム」だ。これによってベース名だけの入力で、リネームが実行できるようになる。「拡張子だけを変更したい」「拡張子を含むすべてを変更したい」というときには、【F2】キーを押すだけで、選択範囲を「拡張子だけ」「ファイル名すべて」に切り替えられる──こう書くと、なんということのない機能のように思われるかもしれないのだが、これが実に便利。特に、デジカメ写真のような単純連番のものに内容に沿ったファイル名を付けるといった作業では、そのありがたみを実感できる。
「お忍びリネーム」のもうひとつの機能が、エクスプローラのコンテキスト(右クリック)メニューの拡張だ。これを使うことで、選択したファイルのファイル名に対して、以下のような操作を行えるようになる。
- コピー:選択ファイルの「フルパス」「ディレクトリパス」「ファイル名」「ベース名」をコピー
- 文字種変換:ファイル名に含まれるアルファベットを「すべて小文字に」「すべて大文字に」
- 除去:「〜へのショートカット」「コピー〜」「ファイル名の先頭の数字」「ファイル名の末尾の数字」を除去
- 挿入:「先頭の今日の日付」「末尾に今日の日付」「先頭にファイル作成日付」「末尾にファイル作成日付」「先頭にファイル更新日付」「末尾にファイル更新日付」を挿入
- 連番付加
- ファイル名の無効化:「ファイル名」「拡張子」の無効化と無効化の解除
このうち日付挿入の各機能では、日付とファイル名の間に任意の連結文字を付加することも可能。これらの機能のうち、コンテキストメニューに追加するものを、ユーザが設定できるようになっている。単純なリネームであれば、専用のリネームソフトを起ち上げるまでもなく実現できるだけの機能を備えている。
……と、非常に便利で使い勝ってのよいソフトなのだが、注意したいことが一点。対応OSがWindows XP/2000となっており、Windows 7環境では一部しか動作しない。具体的にいうと、Windows 7のエクスプローラからは【F2】キーによる選択範囲の切り替えや右クリックメニュー拡張が動作しない。が、エクスプローラ以外のファイル管理ソフトや、アプリケーションのファイル保存ダイアログでは、これらも問題なく使うことができる。ということで、Windows 7環境下でも実用上はまったく困ってはいないのだが、できればWindows 7にも正式対応してもらえるとありがたいと思っている。