例えば、あるWebページを参照しながらテキストエディタで文書を作っているときのこと。参照先のWebページをスクロールして、画面に表示されていない部分を読もうとすると、- Webブラウザのウィンドウをクリックするなどして、ブラウザをアクティブにする
- ブラウザをスクロールして目的の部分を表示させる
- テキストエディタをアクティブにして文書作成作業に戻る
という手順を踏むことになる。たった3ステップであり、そもそも当たり前すぎて「何をいまさら」なことなのだが、ここから手順1.と手順3.とが必要なくなるとしたらどうだろうか。「そのくらいでは大差ないだろう」と思われるかもしれないが、実際には作業効率が劇的に向上するのだ。これを実現するソフトが「WizMouse」だ。これはアクティブでないウィンドウもマウスホイールで操作できるようにするもので、上記の例でいえば、Webブラウザをアクティブにしなくても(テキストエディタがアクティブなままでも)スクロールができるようになる。つまりスクロールしたいウィンドウまでマウスポインタを移動させるだけでスクロールできるから、わざわざアクティブウィンドウを切り替える手順が不要になるというわけだ。
このソフトが持つ特徴的な機能として、マウスホイールによるスクロールに対応していないアプリケーションでもマウスホイールによるスクロールを可能にする、というものがある。「WizMouse Configuration(Settings)」画面から「Enable mouse wheel for applications without mouse wheel support」のオプションを有効にすればよい。このときスクロールさせる行数を指定することもできる。
また、基本的な動作ではスクロールさせてもアクティブウィンドウは変わらないが、「スクロールしたウィンドウを最前面に移動=アクティブ化」させることもできる。「Bring scrolling windows to foreground」というオプションがこれだ。この機能を使うと、冒頭の例でいえば手順1.と手順3.において、アクティブウィンドウの切り替えがクリックからマウスホイールに変わることになる。これも大した違いがないと思われるかもしれないのだが、実際にやってみるとずいぶん操作は楽になる。なかなかおもしろい機能だ。
そのほかのオプションとしては、「トレイアイコンのクリックで『WizMouse』の機能の有効/無効を切り替える」「トレイアイコンを隠す」「Windowsと同時に起動する」「管理者として起動する」「スクロールの方向を逆にする」などがある。トレイアイコンのメニューからも、機能の有効/無効を切り替えることができる。
一度使うと手放せなくなる便利なソフトだが、すべてのアプリケーションでこのソフトが機能すると限らないことは、断っておいた方がよいだろう。ホイールによるスクロールに対応していないアプリケーションで使う場合だけでなく、対応しているアプリケーションでもスクロールしたウィンドウをアクティブ化させる機能はうまく動作しないことがある。これは画面のスクロール処理の方法がアプリケーションによって違うために起きるので、仕方のないことだ。
逆に、同種のソフトではうまくいかなかったものが、この「WizMouse」では問題なく動くこともある。実際に私が常用しているアプリケーションでも、以前使っていた同種ソフトで動作しなかったものが、「WizMouse」では問題なく動作している例がある。このあたりはアプリケーション同士の相性もあるので一概に言えないのだが、同種ソフトでうまくいかなかったという人も、試してみることをお勧めする。