今年は仕事で、いくつものシステム情報閲覧・システム管理ソフトを使用する機会があった。その中から1本、気に入ったソフトを今回のベストとしてご紹介したい。筆者はずぼら派というか、無頓着というか、パフォーマンスやスピードなど、パソコンの性能そのものに強いこだわりはない。ましてデバイス別やアプリケーション別のメモリ消費量を詳細に知りたいとか、パフォーマンスをとことんまで追求したいという欲求はないので、自ずと画面のわかりやすさと使い勝手といったポイントに目が行ってしまう。
というわけで、システム管理ソフトも、システムの体力をがんがん強化するチューンアップ用というよりは、適当な時期にガタが来ているところ見つけ出して補修するメンテナンス用という位置付けになる。
元来が単なる、アプリケーション中心のパソコンユーザであり、コンピュータ内部のことにあまり関心がない身として、筆者の視点ははっきりしている。この手のソフトに要求するポイントとしては、
- 情報を把握しやすいように、日本語表示に対応していること
- 標準のタスクマネージャくらいのウィンドウサイズ(コンパクトさ)
- 画面や使い方がタスクマネージャに似ていること(操作性)
といったところで、あまり(というより全然)理想は高くないのだが、いろいろ使ってみてもマッチするものは意外に少ない。確かにこの手のソフトは、初心者よりも中上級者向けが多いので、やはり機能優先。ある程度、複雑なのは仕方ないと思ってはいるが、どうも筆者には取っつきにくいものが多い。今回紹介する「System Explorer」は、特に多機能という面ではピカイチ。これでもか、と機能を詰め込んだマルチなソフトでありながら、どういうわけか、するするっと手になじんでしまった。もちろんメニューや情報は日本語に対応している。
起動してみたときには、ありがちな「タスクマネージャをベースにした機能拡張版」かな? というのが正直なところだが、その第一印象はよい意味で裏切られる。
まず、タスクマネージャと同等の機能としては、タスク(アプリケーションに相当)、プロセス、サービス、パフォーマンス、ネットワーク、ユーザがあり、タスクマネージャと同じようにタブで切り替えて操作する仕組み。ちなみに、このタブは画面に任意に追加・削除することが可能で、ドラッグで表示順序も変更できるなど、フレキシブルな仕様になっている。
それに加え、
- 自動実行:スタートアップ項目、タスクスケジューラ項目の一覧と管理(登録解除)
- アンインストーラ:アプリケーションの一覧と削除
- ドライバ:デバイスドライバの一覧と停止
など、Windows OSでは、いくつものツールに分かれて搭載されているシステム管理関連機能が、ひとつのウィンドウ内に配置されている。多機能であることに加えて、タスクマネージャよりも便利な点はたくさんあるのだが、その第一がセキュリティ対策機能との一体化だ。ソフトの作者がオンラインで提供するセキュリティスキャン機能を利用することで、現在稼働中のタスク、プロセス、モジュール(ライブラリ)を一括スキャンして、安全性をチェックできる。さらに、リスト上のアイテムを指定して、サイト上で詳細な情報を閲覧することも可能(残念ながら英語だが)。同様に、個別のタスク、プロセス、実行ファイルに対して、ウイルス対策Webサイト(VirusTotal、Jotti's malware scan)を使ったスキャンもその場で行える。
リスト表示の見やすさも大きなポイントだ。リストやツリー上で選択したアイテムの詳細(ファイル名、製品名、会社名、概要の説明)を、ウィンドウ下部の“詳細ウィンドウ”でまとめて確認できる。また「プロセス」タブがツリー表示になっているので、プロセス相互のつながりや、ほかのプロセスとの親子関係がすぐにわかる。
さらに、Windowsシステムの詳細(言語、バージョン、シリアル番号、プロダクトキーなど)のほか、インストールされているフォントやオーディオ/ビデオのコーデックコンポーネントまで知ることができるのはお得だ。
Windows標準のシステムツールは、一般的に普通のユーザには目につきにくい場所に置かれていて(コマンドラインから起動する「システム構成ユーティリティ」など)、ちょっとハードルが高い。もちろん安全性のための仕様なのだが、筆者のように高度な専門知識を持たないユーザでも、必要な情報を調べたいときはある。自称ずぼら派な人にとって、「System Explorer」は感覚的にぴったりフィットするのだ(アプリケーションやドライバなどの設定変更は慎重に行うべきだが、要は閲覧だけして変更しなければ問題はない)。
いままで、あまりに高機能なシステム管理ソフトに苦戦してきた人、あるいは初めてこの手のソフトを使ってみようという人には一度使ってみていただきたい。