仕事柄、取材先や旅先などで、日ごろからたくさんのデジカメ写真を撮っている。趣味や記録としてだけでなく、レビュー原稿の作例など、あとから利用することも多い。当然枚数が膨大になるが、特に整理ソフトを使うこともなく、日付と大まかな場所(近所、市内、遠出など)で名前をつけたフォルダを作り、エクスプローラ上のアイコンでブラウズしている。この方が検索しやすいと思っている。ちょっと自慢できるベストショットだけは別にコピーして、「草花や樹木」「ユニークな建築」「動物(町の猫や犬)」「風景」というように、被写体やテーマ別にフォルダ分けしている。テクニックもないのに、1回持ち歩くと200枚くらい写してくる乱撮(?)派である上に、ベストショット以外も残しておきたい性格の筆者としては、このくらいルーズな整理法が身の丈に合っているという気がしている。
というわけで、デジカメ写真をアルバムにまとめるという習慣がないのだが、たまに困るのが撮った写真を誰かに見せたいとき。単にフォルダをデータ圧縮して送るだけでは愛想がないし、データ容量で相手の通信環境やパソコンにも負荷がかかる。何か簡単にアルバム的なものを作ってメールで送付するか、または公開するのに適当なソフトがないかと探していた。
今年はじめに出合った「Photo Flash Maker Free」は、そんなときにぴったりのソフトだ。デジカメ写真と音楽データからBGM入りのスライドショウを作り、フラッシュムービー(SWF形式)で保存するものだが、音楽や動きを入れた“デジタルアルバム”を作成して人に見せる用途にとても簡単で便利なので、今年印象に残った1本として紹介したい。
なんといっても、ウィザードを利用すれば、
- 画像の読み込み
- テンプレートの選択
- 公開や共有の指定(保存するFlash/Htmlのファイル名指定)
という3ステップで操作が完了するので、無精な人にはイチ押しだ。最も手軽でお勧めな使い方は、1.でフォルダ内の全画像を読み込んでから、サムネイルで不要な画像を除外すること。別画面で拡大表示も開けるので、ピンぼけなどの失敗ショットもチェックできる。そして2.では「サムネイル」のカテゴリーからテンプレートを選択すること。サムネイル付きのスライドショウなら、再生中に好きな画像にすぐジャンプできるし、また画像を簡単に一覧できるので、フォトアルバムとしての利便性が高まるはずだ。
テンプレートの種類は豊富で、アルバム(書物)風や映画フィルム風など、サムネイル付きだけで10種類以上が用意されている。それ以外にも誕生日、クリスマス、卒業式などのイベントや、蝶、海辺、サッカーなど被写体(題材)に関連したものもあるので、テーマに応じて選べばよい。
ウィザードを利用した上で、メイン画面で細かな設定を行うこともできる。ここではまず、スライドショウで一番肝心な画像の切り替え効果(トランジション)の設定をしておこう。ウィザードを利用した場合はすべての画像に「ランダム」が適用されているが、プレビューで確認して、好きなものを1枚ごとの画像に設定するとよい。トランジションの種類も豊富で、画面に幕が下りる/上がるようなお馴染みの「ワイプ」だけでも、方向やサイズごとに細かく分かれていて、20種類以上もある(合計で約70種類)。
そのほか、ユニークな装飾機能として「画像の飾り付け」がある。小さな落ち葉や雪がアニメーションのようにスライドの画面一杯に現れて舞い踊り、画像を華やかに彩ってくれる。季節感のある写真などでは、ぜひ利用してみたい。さらに「回転」を利用して、画像の縦・横位置の調整もしておこう。画像の回転・反転はウィザードからも行えるが、メイン画面の「画像タブ」でサムネイルを見ながら操作する方がスムーズだ。テキスト挿入機能もあり、スライドショウ再生中に画像ファイル名や画像タイトルなどの情報を表示させることもできるので、見た人がほしい画像を指定すれば、あとから“焼き増し”して送ることもできる。
Webアルバムサービス「Go2album」へのアップロード機能もサポートしており、これを利用すれば、簡単に自分のblogなどに写真アルバムを貼り付けられる。無料でID登録できるので、たくさんの人に対してアルバムを公開するにはお勧めだ。
ここまでは、ウィザードを利用して必要最低限のアレンジを加える“ずぼらな人向け”の作成法を紹介してきたが、「Photo Flash Maker Free」は非常に高機能で、スライドショウを一から作成したい場合にも、もちろん本領を発揮する。ビジネス向けのクールでカチッとしたテンプレートも用意されているので、プレゼンテーションなどにも十分に活用できる。
メイン画面の操作もとてもわかりやすい。「画像(画像選択とトランジション)」「テーマ(BGMを含む)」「作成(ファイル書き出し)」というタブごとにプルダウンメニューやボタンが並び、必要に応じてダイアログが開くなど、最初からほぼ直感的に使える。デジカメ写真をまとめて人に見せる機会がある人で、この手の(スライドショウ作成)ソフトを使ったことのない人は、とにかく一度手にして、まずはウィザードからチャレンジしてみれはいかがだろうか。
ユーザのレベルと目的に応じて、豊富な機能から必要なものを選択して利用できるので、
- 入門者:ウィザードを利用して手軽に作成する
- 初級者:トランジションを少し変えたり、1枚ごとの画像に効果を加えたりする
- 中上級者:全体の再生時間を考え、テーマを決めて内容を構成する(例えば、1枚目にアルバムタイトルを入れて表示を長めにする、など)
というように、ステップアップしていくのもアリだろう。