オブジェクト切り抜きなどの機能が強化された「Paint Shop Pro」シリーズの“最上位”バージョン。「Corel Paint Shop Pro Photo X2 Ultimate」は、多彩な機能と優れた操作性で知られる“定番”フォトレタッチソフト「Paint Shop Pro」シリーズの新バージョン。「Ultimate」では、昨年登場した「Corel Paint Shop Pro Photo X2」に対して、
- オブジェクト切り抜きプラグイン「BackgroundRemover」
- データ復元ソフト「PHOTORECOVERY LE」
の、デジタルカメラユーザにはうれしい二つの機能が追加された。「BackgroundRemover」は、目的とする主要被写体(オブジェクト)を簡単な操作ですばやく切り抜けるツール。うるさい背景を取り除いたりするのに重宝する。操作は簡単。最初に切り抜きたい(残したい)オブジェクトをマウスで指定する。一般的なレタッチソフトであれば、ここでオブジェクトの輪郭をかなり正確になぞらないといけないが、「BackgroundRemover」では、オブジェクトの内部を大雑把に指定するだけでよい。次に、オブジェクト以外の背景部分を指定する。オブジェクトの指定と同様、大雑把な指定でかまわない。ユーザの操作はこれだけでよい。あとはオブジェクトと背景の明るさや色の差などから、自動的に適切な切り出し範囲が指定される。細かな木の枝、金網、髪の毛など、はっきりとした境目が指定しづらい半透明オブジェクトの切り抜きにも対応し、手動では正確な範囲指定が困難な場合でも、手軽に指定できる。
もうひとつの追加機能「PHOTORECOVERY LE」は、メモリカードの破損時や誤ってファイルを削除/フォーマットしてしまった場合に、失われたデータを復元するためのリカバリソフト。SD/SDHCやCompactFlash、メモリースティック、xDピクチャーカードなど、デジタルカメラで使われるほとんどのメモリカードに対応する。ファイルの復元前に、画像をプレビューで確認することも可能。画像のほかに、動画やサウンドファイルの復元も行える。
「BackgroundRemover」「PHOTORECOVERY LE」以外の機能は、基本的には「Corel Paint Shop Pro Photo X2」と同様。デジタルカメラのRAW現像機能では、ニコンの「D3」「D300」やキヤノンの「EOS Kiss X2」「EOS Kiss F」など、最近になって登場したカメラを含めて約250機種に対応する。さらに、画像に飾り枠を付けるピクチャフレームやテクスチャなどの付属素材の数も大幅に増加している。
レタッチ機能は相変わらず強力。複数枚の写真を効率的にレタッチできる「エクスプレス ラボ」では、複数の画像サムネイルを画面下部に一覧表示した上で、画像をワンタッチで切り替えつつ、トリミングや傾き補正、スマート修正(明るさ、カラーバランス修正)、赤目補正、回転、クローンブラシ、メークオーバーといった修正を適用することが可能。大量に撮影した写真を、短時間でレタッチするのに便利だ。
肌色の補正やシミの除去といった人物画像専用の補正機能「メークオーバー」では、やせて見えるように、背景への影響を抑えつつ人物だけを「スリム」化したり、「白目」の部分から充血を取り去ってすっきりした印象にしたりすることが可能だ。
露出ブラケットにより撮影された複数枚の画像を組み合わせてダイナミックレンジの広い画像を作る「HDR写真結合」や、レイヤを駆使した編集など、高価なレタッチソフトと同等の編集機能も過不足なく備える。Webページなどでの公開向けに、画像に半透明文字をオーバーレイする「すかし」機能もある。