「YiShow Explorer」を開発されたきっかけや動機はなんでしょうか。
SONYのCLIE PEG-N700は私が初めて使ったPDAです。ずっと前からPalmに関心がありましたが、昔のPalm機は画面の解像度が低く、買う気になりませんでした。しかし、SONYからCLIE PEG-N700がリリースされた後、N700のきれいな画面とマルチメディア機能が気に入り、発売日に買ってしまいました。
ところが購入した後でわかりましたが、これらの優れた機能を活用できるソフトウェアがあまりなく、特に高解像度画面に対応した画像ビューアが少ないのが一番辛いことでした。なぜなら私がCLIE PEG-N700を選んだのは、家族の写真を持ち出すのが一番の目的だったからです。
当時の高解像度対応ソフトはSONY純正しかなかったのですが、「JPEG、GIF画像などが表示できない」「速度が低い」という制限があり、私には使えそうに思えませんでした。インターネットでも色々と調べて見ましたが結局見つからなくて、仕方なく自分で作る決意をしました。そこで、画像ビューア「YiShow 掌上相冊」(YiShow Album)の公開に至り、やがて「YiShow Explorer」に進化しました。
インタフェースには、WindowsのExplorerを意識されたと思いますが、Palmとの相性について、思うところはありましたでしょうか。
Windowsばかり使ってきた私にとって、Palmは少々使いづらいものでした。PalmはSimpleさを追求してきましたが、あまりにもそれにこだわり過ぎますと、逆に使い辛い物になってしまうのです。これが私が最初にPalmを使った感想でした。
CLIEはPalm機で初めて外部メモリカード機能を持ちました。しかし、ファイルシステムがありながら、画像やテキストファイルを閲覧するためには、専用ソフトでPalm専用データベースへ変換してからPalm本体へ転送するという手間が掛かる作業が必要で、私のようなWindowsユーザにはかなり分かりにくいことでした。
また、画像ファイルなどをPalmOS用に変換するとサイズがかなり大きくなるので、メモリ容量の小さいPalmには沢山の画像ファイルを保存しておくのは現実的に不可能でした。これらの問題を解決しようと始めたのが「YiShow掌上相冊」の最初の考え方で、所謂Windows上で慣れているWindows Explorerを使っているようにワンタッチで通常の画像ファイルを閲覧できる機能を実現したかったのです。
最初は自分だけが欲しがっている機能だと思ったのですが、意外とユーザの支持を得たので、画像だけでなくテキストファイルの閲覧、ファイル管理、ソフトの起動、壁紙設定などもWindows Explorerのようにしたくなり、結局「YiShow 掌上相冊」は「YiShow Explorer」に生まれ変わりました。
「YiShow Explorer」からはじめたファイル管理機能、データベース管理機能、壁紙設定機能などをPalmOSのデスクトップ(ランチャソフト)ソフトと統合して、Palmの使い方(インタフェース)をWindows Explorer風にする機能は、現在PalmOSの主流ランチャソフトの標準機能になっています。
開発にあたり、苦労された機能などはございますでしょうか。
実はYiShowは私が始めて開発したPalmwareです。PalmOSの開発を経験した友達もいないので最初は結構苦労しました。「PalmOS API バイブル」一冊で開発をスタートしたのです。
日本語だけでなく、英語版のアーカイブや中国語、韓国語などのドキュメントを用意されておられますが、国境を越えたユーザの広がりについてどのように感じていらっしゃいますでしょうか。
日本語、中国語、韓国語の対応は問題ないのでユーザからのメールを楽しみにしていました。ところが英語が苦手な私にとって、英語版ユーザへの対応は相当辛いことでした。数本程度、また短いメールなら翻訳ソフトなどを使って何とかできましたが、一日数十本の英語メールはどうしようもなかったのです。英語圏のユーザには本当に申し訳ないことをしました。お陰で英語の勉強をはじめました。
今後のバージョンアップについてご予定はございますでしょうか。
先日(8月20日)「YiShow Explorer for CLIE v6.0beta3」をリリースしました(※)。このバージョンでは、最新のCLIE PEG-UX50ワイド画面に対応のほか、インタフェースのカスタマイズ性やその他の機能強化もあります。このバージョンにより、ユーザはもっと個性的なデスクトップ画面が得られると思います(※追記:9月6日現在、6.0として正式にリリースされています)。
どうもありがとうございました。最後に、ユーザの方へメッセージがあればどうぞお願いいたします
いつの間にかYiShowの開発から既に2年が過ぎました。ユーザ様のサポート無しではYiShowの開発はありえません。長い間YiShowの開発に付き合って下さったユーザ様に大変
感謝いたします。
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