いきなり私事で恐縮だが、今年2007年は業務で使用している自宅のパソコンが2回「飛んだ」。具体的には、1回がハードディスクの寿命。もう1回がハードディスクの初期不良だった。定期的にバックアップは取っていたため、ロストしたデータ量自体は大したほどでなかった。だが、非常に困ったのが「Webブラウザ上で利用できる機能のアカウント/パスワード」。最近筆者は、Yahoo!メールやGmail、Googleカレンダーなど、仕事で使うデータはローカルのパソコンに置かず、ネット上で管理している。つまり、それらのパスワードがなければ仕事が一切できなくなるのだ。「困った困った」と騒いでいたときに、ふと思い出したのが「ID Manager」だった。
「ID Manager」は、各種パスワードの管理はもちろん、1ボタンでWebブラウザ上にパスワードなどを貼り付けたり、任意文字数のパスワードを自動生成したりできるソフト。設定は必要だが、IDとパスワードを続けざまに貼り付けることもできるので、非常に重宝している。一定期間ごとに「パスワードの期限が切れた」ことを示してくれる機能もあり、金融機関のオンラインサービスなど、特に重要なパスワードを定期的に変える際に役立つ。アイテム(項目)はツリー構造で管理できるため、複数のアイテムがある場合でもラクラク管理できるというわけだ。これだけ使えるにもかかわらずフリーソフトという点もありがたい。
だが、今回特に強くアピールしたいのは、基本的な機能とはちょっと言い難い「FTP機能によるデータの同期」だ。これは、自前のFTPサーバを介してユーザデータをやりとりできる機能で、例えば自宅のパソコンにあるユーザデータをFTPにアップロードして、それを会社のパソコンでダウンロードし、「ID Manager」にセットすることができる。あらかじめFTPサーバの情報などをセットしておけば、アップロードやダウンロードはボタンひとつで行えるため、非常に便利だ。しかもデータは暗号化されているため、誰かが勝手にユーザデータを得たところで簡単には中を見られない。
ここで話は冒頭に戻る。筆者はこれまで「ID Manager」をVer.3.xのころからずっと愛用しており、以前、ちょっした興味本位でFTPアップロード機能を使ったことがあった。自前サーバにアップしたデータのことをうっかり忘れて「困った困った」と騒いだわけだ。ふと思い返してFTPサーバからユーザデータをダウンロード――成功。無事に各種パスワードを取り戻すことができた。
以上、そうした私的な事情により、今年のベストオンラインソフトは「ID Manager」とさせていただく。正直「ID Manager」には足を向けて寝られない。読者の中にもGmailなどのWeb上サービスを頻繁に利用している方は多いと思うが、そうした人にこそ「ID Manager」をぜひ活用していただきたい。