本年のベストには、その完成度の高さとおもしろさから「TOUCH DE DEFENCE 陽だまりの要塞」を選ばせていただいた。フィールド上に各種兵器を配置することで魔物の襲撃から街を守る防衛ゲームだ。次々と群れをなして押し寄せてくる魔物に対して、どの武器をどの位置に配置するのが最もよいか、その試行錯誤がおもしろい。スマホで動作させることを想定して作られたゲームだけあり、操作もシンプルでわかりやすい。ゲームの舞台は、アルマヒュラスという小さな街の近辺。そこに住む魔導師の女の子「ウェンディ」は、かわいらしい見た目とは裏腹に強大な魔力を持ち、自然界からさまざまな兵器を召喚することができる。ウェンディとその友人「サリナ」との間に交わされる寸劇が、各ステージの冒頭に美しいグラフィックで表示されるのも楽しい。
魔物は、フィールドのドクロマークが表示された側から出現し、ウェンディのいる側に押し寄せてくる。ウェンディの背後の画面の外が防衛ラインとなり、そこを突破されると、1匹につきウェンディのHPが10減少する(HPの初期値は100)。
それに対し、ウェンディはMPを消費して5種類の兵器を出現させることができる。ただし、兵器を配置できるのは壁や岩の上など高台のみ。平地に兵器を配置するには、MPを消費してブロックを召喚する必要がある。配置した兵器はMPを使って、攻撃力・連射力・射程の各能力をトータルで8段階まで高めることができる。
各兵器には対地・対空いずれかの特性があり、ひとつの例外を除いて、地上と空中のどちらか一方しか攻撃できない。そのため「空を飛ぶ魔物の出現率が低い」からといって、対地兵器のみを強化し、対空兵器を疎かにすると、たちまちゲームオーバーなってしまう。対空兵器の召喚は消費MPが高いため、計画性が重要。MPは魔物を倒すと補充される。
用意されたステージは全部で6面。ステージごとに定められた回数、魔物の波状攻撃の撃退に成功するとステージクリアとなる(全ステージで最高評価を達成すると、オマケも用意されているようだ)。
各ステージとも、地形や魔物が押し寄せてくる順番とその数などがよく考えられ、ゲームバランスが非常によい。フィールド上に兵器を配置すると、魔物が射程からなるべく遠ざかるように進路を変更するのもおもしろい。この性質を利用して、敵の進路を誘導することも可能だ。何よりもフィールドの地形を最大限利用し、的確な場所とタイミングで最適の兵器を召喚することが重要。シンプルだが、難易度は高め。じっくりプレイするにも、ちょっとした空き時間の息抜きにも適した、よくできたゲームだ。