猫だった少年がヘルパーの仕事を通じて、人間の心を理解してゆく物語

「ねこにん！」は、猫だった少年が人との触れ合いを通じて、人間の内面を理解してゆく中編RPG。主人公は、世界一といわれた魔術師からすべての知識と魔力を受け継いだ少年「フィナ」。もとは猫だったが、現在は魔力のおかげで人間の姿をしている。フィナは、飼い主の女医「フィーリア」とともに、「メルトナ村」でのんびりと暮らしていた。しかし、フィーリアのお人好しの性格がたたり、大陸一有名なはずのフィーリア診療所は借金まみれという状況。フィーリアの友人の「エルヴィラ」や「ネリー」の助言を受け、フィナは人助けをする「ヘルパー」として働き、フィーリアを助けようと決意する。

ネリーの紹介でマジェス地域の「エルフィス」という街へ来たフィナは、ヘルパーになるための試験を受ける。「北の洞窟へ行って、指定した薬草を採ってこい」と命じられ、早速、洞窟に向かう。無事、薬草を見つけたフィナは、洞窟の中で魔物と戦っている女性「トリア」と出会う。トリアもエルフィスを拠点に活躍するヘルパーの一人だった。

知り合いもでき、試験にも合格したフィナは、ヘルパーとして働くことになる。レウス地域の街「フェルト」に派遣されたが、そこでエルフィスのヘルパーに関する、よくない噂を耳にする。エルフィスではヘルパーの仕事が減ってきており、エルフィスからよその地域に移るヘルパーが後を絶たない。フィナは、なんとなく疑問に思いながらもヘルパーの仕事をこなしてゆく……。

臨場感抜群のアクティブタイムバトルで、魔物を次々と退治しよう

「ねこにん！」は、クエストをクリアしていくタイプのRPG。クエストは、洞窟を探索したり、物を探したり、魔物を倒したりとさまざま。フィールド上の移動はカーソルキーで行い、【Shift】キーでダッシュできる。アイテムの「ふわっとブーツ」を持っていると、【W】キーを押すことで1マス分ジャンプでき、壁や岩などを飛び越えられるようになる。

シンボルエンカウント形式だが、敵はかなり近づかないと姿を確認できず、敵の姿が見えるころには逃げることが困難なため、感覚的にはランダムエンカウント形式に近い。

戦闘は、サイドビューの「アクティブタイムバトル」。キャラクタ直下の青いゲージがたまったキャラから行動できるようになっている。「テンポの速いバトルは苦手」というプレイヤー向けに「ウェイト」モードも用意されている。戦闘中のコマンドは、武器で物理的に攻撃する「攻撃」、魔法や技を使用する「スキル」、ダメージを軽減してわずかに回復する「防御」、持っているアイテムを使用する「アイテム」の四つ。スキルは、回復系のものから攻撃系のものまで、さまざまな種類が存在する。

主人公のフィナは、固有スキルとして「再構築」を備えている。再構築は、HPを大幅に回復するだけでなく、異常状態をすべて治してくれる強力なスキル。ただし、使用後は攻撃力・精神力ともに半減してしまうため、使いどころには注意したい。再構築以外にも、敏捷性がアップする「スピーダー」や精神力がアップする「マジッカー」、味方全体を大幅に回復する「波射」、敵をランダムで4回攻撃する「乱射」など、さまざまなスキルが用意されている。

特に主人公「フィナ」の天真爛漫さは微笑ましい。ヘルパーになるため、北の洞窟へと向かった際、先輩ヘルパーの「トリア」が魔物と戦っているところを堂々と横切り、トリアと魔物両方から突っ込まれていたシーンでは、つい声を出して笑ってしまった。そのせいで、あとからトリアに思いっきりど突かれて涙目になるフィナは、男の子とは思えないほど愛らしい。

個人的には、フィールド上で「ジャンプができる」という要素のおかげで行動に幅ができ、ダンジョンの探索などが非常におもしろく感じた。物語も、主人公の成長物語を軸にさまざまな謎解き要素が用意され、最後までダレることなく楽しめた。気軽に遊べるゲームなので、「RPGを遊びたいけど、時間がない」という人や「RPGはあまりプレイしない」という人にお勧めしたい。