突如として荒れはじめた美しい森。その謎に一人の勇者が挑む

「Another Self」は、ファンタジー世界を舞台にしたファンタジーRPG。ゲームの主人公は、森の調査のために呼ばれた勇者「ジル」。とある事情により、一切の記憶をなくしていた。物語は、ジルが「聖森村」の村長から、最近荒れはじめた森「聖森」の調査を依頼されるところからはじまる。

村長の説明によると、これまで森の管理はまったくしていなかったという。聖森は、遠方からわざわざ人が訪れるほどの観光名所。「人の手なしで森を維持できるのか？」と疑問に思うジルだが、どうやら先々代の村長の捨てた「草」が森を守っていたらしい。その草は、燃やしても平気なほど生命力が強く、森の奥に捨てられたことで、聖森は非常に美しい森へと変貌したというのだ。

森を美しくしたという不思議な草が、毒や汚物を浄化する「殺菌草」ではないかと考えたジルは、今回の異変にもその草が関係しているのではないかと考える。ひとまず、その草が捨てられたという森の奥へと調査に乗り出すが、目的地までの道のりには、さまざまなモンスターが跋扈し、さらには罠まで仕かけられていた……。

スキル発動に必要なマナは計画的に使おう

戦闘はランダムエンカウント方式。パーティメンバーは存在せず、主人公が一人で複数のモンスターを相手にする。主人公にはライフと「マナ」が設定されており、敵から攻撃されるとライフの数値が減り、「心得」と呼ばれるスキルを使用するとマナが減る。

戦闘では、「戦う」「オート」「逃げる」のいずれかを選択する。「戦う」は手動での戦闘、「オート」では自動での戦闘がはじまる。（戦い方などが説明されたチュートリアルは用意されていないので）最初のうちはオートを選択して、様子を見るのもひとつの手だろう。

攻撃は、物理攻撃を行う「攻撃」とスキル攻撃を行う「心得」の二つ。「心得」にはさまざまな種類があり、「パワーブレイク」「ダンシングソード」といった攻撃系のもの以外に、ライフを回復する「メガヒール」や解毒をする「キュアポイズン」のような回復系、一時的にステータスを上昇させる「精神統一」なども存在する。

心得を発動させるには、マナポイントが必要。しかし、宿屋で休んでもマナは回復しない。マナを回復させるには、武器屋で売っている「エリクサー」や「マナポーション」などの回復薬が必要で、そのために資金を稼がなくてはならない。最も手っ取り早く稼ぐ方法は、「アメジスト」や「トパーズ」などの宝石を売ること。宝石は村の中や森のさまざまな場所に落ちている。また、魔物を退治しても入手できるので、できるだけ多くの敵を倒してお金を稼ごう。

ところどころに出現する強力なモンスターもサプライズのひとつ。聖森村の宿屋でクエストを請け負い、その後、村の中にある洞穴に行くと、いきなりボスクラスのモンスターが登場する。回復薬を用意していなかった筆者は、もちろんライフが尽きて、ゲームオーバーになってしまったのだが、「Another Self」にはこうしたサプライズモンスターが多数登場する。森の中にある宝箱を開けたら、いきなり強力なモンスターに襲われたこともあった。モンスターは突然出現するので、セーブはこまめにしておくことをお勧めする。ただ、通常よりも強い魔物を倒した際に入手できるアイテムは、のちのち大いに役立つので、レベル上げついでに少々無理をしてでも手に入れておこう。

気になったのは、エンカウント率の高さ。かなり高めに設定されているので、最初はストレスを感じるが、移動中に戦闘をこなしてゆくと、ボスモンスターにたどり着くころにはちょうどよいレベルになっている。

「勇者が一人で魔物に立ち向かう」というスタンダードなRPGを手軽に楽しむことが可能で、「RPGを遊びたいけど、じっくりやり込む時間がない」という人にお勧めの作品だ。