「Vectorrow」は、矢印の形をした主人公と、「まる」「さんかく」「しかく」といった幾何学的な形をしたボスキャラとの戦いを描いたステージクリア型のアクションゲーム。主人公は、とある研究所で造り出された実験生物で現在、逃亡中の身。研究所からは「生死を問わず100万ゴールド」の懸賞金が掛けられており、賞金稼ぎや研究所からの追っ手と生涯戦い続けなくてはならない。ただし主人公には、自分自身にかかる重力の向きを上下左右に転換できる特殊能力が与えられている。重力を操作してステージ/エリアをクリアし、最終エリアのボスに勝利することがゲームの目的。

用意されたステージは全3ステージ。1ステージは5エリアで構成され、全5エリアを制限時間3分でクリアすればよい。最初の4エリアはアクションパズルゲーム。障害物をうまく避けてゴールにたどり着けば、次のエリアに進める。第5エリアは、ボスと戦うほぼ純粋なアクションゲーム。ある条件をクリアするとプレイできるようになる「EXTRA」ステージも用意されている。

操作はキーボードで行う。主人公が地面に立っているときに決定キー（【Enter】/【Z】/スペースキー）を押すと、主人公が回転をはじめる。この状態で上下左右いずれかのカーソルキーを押すと、重力がその向きに転換し、主人公が落下する。落下中、落下方向に対して垂直方向のキーを押すと、空中で位置を変えて着地点を変更することもできる。ただし、主人公の落下は速く、操作のタイミングはかなりシビア。重力転換が可能なのは地面にいるときだけで、空中で転換することはできない。

キャンセルキー（【X】/【C】/【Esc】キー）を押して、低い障害物などを飛び越えることもできる（この方法を使わないとクリアできない面もある）。主人公が地面に立っているときは、カーソルキーを押して真横に移動することも可能。速度は遅いが、安全に移動できる。着地に適した地点や出発点などへの移動で多用する。

各エリアには「針」「敵」の2種類の障害物が登場する。「針」は、機雷のような形をした障害物で、移動はしないが数多く登場し、主人公の着地点や落下ルートを塞ぐ。「敵」は、十字形や菱形をしたオブジェクト。定められたルートを規則正しく移動する。どちらに触れても主人公はエリアの外に吹き飛ばされ、ペナルティとして制限時間が10秒減る。残り時間が10秒以下の場合、吹き飛ばされれば即ゲームオーバーとなる。制限時間が0秒になっても、吹き飛ばされない限りはゲームオーバーにならない。

対ボス戦では、プレイヤー側からの攻撃は一切できず、ひたすら攻撃を避けながら敵の自滅を待つというアイデアもユニーク。わりと露骨に攻略のヒントが示されているのと、「ライフ」というおまけが用意されているため、一度ボス戦のルールを理解してしまえば、攻略は難しくない。

ボス戦以外のエリアも、アクションパズルとしての難易度は高いが、制限時間の残り10秒を残機に変換できると考えればかなり残機数の多いゲームで、ゲームシステムに慣れさえすれば、何とかクリアできるだろう。

ともかくユニークなアイデアが多くて、刺激的でおもしろい。ただ一つ欠点があるとすれば――筆者の勘違いでなければだが――基本ステージがわずかに3ステージしかないという点。せっかくのおもしろいゲームであり、パズルのアイデアもいろいろと考えられそうなのに、非常に惜しくて物足りない。せめてあと2〜3ステージを攻略してみたかったところだ。

開発中に苦労した点
当初、ちゃんとした人間を主人公にしてストーリーを展開させるつもりでしたが、ゲームシステムの都合上、上下左右4方向のアニメーションを作らなければならないということで断念しました。その後、どうしようかと試行錯誤した末、いまの形に落ち着きました。結果的にはこれでよかったかなと思っています。それから、各ボスの行動パターンおよび攻略法を作るのに非常に苦労しました。この理由もまたゲームシステムの構成上、主人公に攻撃手段がないということが原因なのですが。

ユーザにお勧めする使い方
本作ではステージクリアタイムが記録されるようになっています。一度ゲームをクリアしたあとでも、高速クリアすれば何かあるかも。

今後のバージョンアップ予定
特に予定はありませんが、報告があればバグ等の修正は受け付けるつもりです。