「PowerProducer Vista Deluxe」は、DVDだけでなく次世代フォーマットにも対応するオーサリングソフト。CD-R/RW、DVD±R/RW（2層含む）、DVD-RAM、Blu-ray、HD DVDの各フォーマットに対応。ソフト名が示すように、Windows Vistaにも対応する。「PowerProducer Vista」には通常版とDeluxe版があるが、いずれも本体機能は同じ。Deluxe版には、ビデオ編集ソフト「PowerDirector Express」が付属する。

編集機能では、クリップの前後を切り取ったり、クリップ同士を並べ変えたりといった「カット編集」が可能。付属の「PowerDirector Express」を使って、トランジションやビデオエフェクト、タイトル付加、アフレコなど、本格的な動画編集を行うことが可能だ。オーサリング機能では、従来のDVDオーサリングのほか、「Blu-ray」「HD DVD」のオーサリングが新たに加わった（利用できる機能は、オーサリング対象により異なる）。さらに、16:9のワイド画面DVDを作成する機能も追加された。通常のDVDのほか、DVD±VR（VRフォーマット）の作成も可能だ。

Blu-rayでは、レコーディングフォーマットに相当する「BDAV」形式でディスクを作成できる。BDAV形式では、クリップのカット編集が可能。固定形式の動画メニューを含むディスクを作ることもできる。出力先はBD-R/REで、1層25GBと2層50GBのメディアに対応する。

HD DVDでは、本格的なHD DVDメニューを作成できる。テンプレートから選択する方式で、ユーザがカスタマイズすることもできる。メニューにBGMをつけるなど、一般的なDVDオーサリングソフトと同様のHD DVDメニューを作成することが可能。出力先はHD DVD-Rで、1層15GBのメディアに対応する。HD DVDオーサリングでは、1層4.7GB、2層8.5GBのDVD-RにHD DVDフォーマットで書き込んだり、ハードディスクにHD DVDイメージファイルを出力したりといったことも可能。次世代ドライブを持っていない場合でも、ハイビジョンディスクのオーサリングが行える。

ダイレクトレコーディングの「Right-to-Disc」機能も搭載する。ビデオカメラ、キャプチャボード、既存のディスクからデータを直接読み込み、そのままメディアに書き込むことができる。通常のSD品質の動画はもちろん、Blu-rayディスクやHDVカメラなどのハイビジョンソースも利用することが可能。出力先にはDVD-R/±RW、Blu-rayメディアを指定できる。

というのは、Windows VistaではこれまでXPで使われていたような、動画再生時の「オーバーレイ」の使用に制限が加わるからだ。まったく使えなくなってしまうというわけではないが、例えばオーバーレイ再生中にはAero Glassの「透明化」機能が使えなくなるなど、市販のアプリケーションとしては許されない仕様となる。このため、多くのマルチメディアソフトがバージョンアップを迫られるということだ。

さらにオーサリングソフトの場合、もうひとつバージョンアップの原動力がある。いうまでもなく、Blu-rayやHD DVDといった「次世代動画ディスク」が、今年、本格的普及をはじめるからだ。そのため、「Power Producer Vista」の機能は、まさに時代が求めたものといえよう。

Blu-rayの書き込みドライブはすでに販売されており、HD DVDのドライブもまもなく登場する。Blu-rayディスクの場合は残念ながら書き込みドライブがないと利用できないが、HD DVDオーサリングであれば、DVD-Rドライブがあれば利用できるし、ディスクイメージも作成できる。作成したイメージをあとからHD DVDメディアに書き込むことも可能で、いまからハイビジョンのオーサリングに慣れておくのもよいだろう。