「ばとね!!〜ばとるねこみみさん〜」は、猫耳姿の少女が主役のRPG。物語は、女子校生「可憐」が突然空から落ちてきた猫耳姿の少女「リミュレ」を抱きとめて助けたところからはじまる。名前以外の記憶がないリミュレは、紆余曲折の末に可憐のボディガードとして可憐宅に居候することになる。時を同じくして、可憐が暮らす町に空から「魔物軍団」が来襲し、町のさまざまな施設を占領する。リミュレの強さに目をつけた可憐は、町の平和を守るためにリミュレと協力して魔物の「四天王」を倒そうとする……。

ストーリーはテンポよく進む。コミカルな要素が強く、「コスプレが趣味」という町の住民、猫耳カチューシャをつけた猫耳マニアな女の子、「正当防衛」を盾に主人公たちに挑んでくる情けない敵など、「ちょっとヘン」なキャラが多数登場する。

「ばとね!!」には、さまざまなオリジナルシステムが導入されている。例えば、経験値入手による「レベルアップ」がない点。レベルの概念がない代わりに、経験値を消費することでHP、PP、攻撃力（OP）、防御力（DP）といったリミュレのステータスを上げられる。

そして最大の特徴が、リミュレのコスチュームを替えられる「着替え」システム。衣装によってリミュレのステータスが大きく変わる上、ステータスアップに必要なポイント数も変化する。衣装は、ダンジョンで手に入れたり、誰かからもらったりすることで増やせる。

衣装には、独自のスキルがセットされていることもある。例えば「ナイト」の衣装を着ると特定の障害物を剣で切れるようになり、「体操着」では浅い川などを跳び越せるようになる、といった具合。ダンジョンによっては、障害物に合わせてさまざまな衣装を着替えながら進むことになる。

特定の衣装を着て戦い続けると「衣装のレベル」が上がる。衣装レベルが上がると、ステータスのポイントアップ上限が増えたり、新しい「コマンド」を入手できたりする。「コマンド」は、戦闘で使える必殺技や魔法のことで、例えば「せいじゅつし」の衣装ならば回復魔法の「きゅあ」を習得できる。

戦闘システムもオリジナリティにあふれている。リミュレの基本となる攻撃は「たたく」と「ける」。「たたく」は敵に与えるダメージは大きいものの、敵から受けるダメージも大きくなってしまう。「たたく」や「ける」以外にも、衣装ごとに異なるスキルを発動させることが可能だ。

「ぼうぎょ」コマンドを発動すると、HPとPPが少量ずつ回復する。「かわす」を選択すると回避行動を取る。回避に成功すれば敵のダメージを一切受けずにHPとPPが大幅回復する。ただし回避は必ず成功するわけではない。しかも敵の魔法は回避不可なので、リスクは高い。

攻撃系のコマンドにはPPを割り振ることができる。基本的には、多くのPPを割り当てるほど与えるダメージが大きくなる。発動する技や攻撃の種類によって、割り当てられるPPの上限は異なる。例えば「たたく」は8が、「きりつける」は4が最大値となっている。PPを使えば使うほど戦闘で有利になるが、リミュレが利用できるPPの量には制限がある。

テンポよく進むストーリーと、コロコロと表情が変わるかわいいグラフィック、重要なシーンで表示される一枚絵など、演出面も充実。最後まで飽きずにプレイできる。

そのほか、特殊なアイテムが手に入るサブイベントや、複数のエンディングが用意されている点、パズル要素も絡めた飽きない作りのダンジョンなど、とにかくユーザを楽しませるための工夫が随所になされているのがうれしい。

苦労した点
戦闘システム構築とバランス調整は大変でした。言語での制作にはない独特な苦労というべきなのでしょうか……。これが言語での制作だったら……と何度も思いました。

そして、とにかく作らなければいけない素材の多さがきつかったです。大型の全身画像、一枚絵、コマンド表示、システム画像。そしてキャラドット。これは一番大変でした。1枚の画像から切り出して表示というのができないので、描いては切り分けて保存など……。

お勧めする楽しみ方
このソフトは、楽しみ方をある程度プレイヤーに任せた部分があります（一部のダンジョン内での攻略手順を少し省くことができる場所があったりなど）。普通にクリアする分にはそれほど難易度は高くはないかと思います。

しかし、入手する服装によって難易度が大幅に上下するので、工夫して楽しむことができます。プレイヤーからの報告で一部のパラメータをひとつも上げずにクリアしたという、作者としてうれしい意味で予想していなかった報告もあります。それに挑戦するもよし。たくさん上げて蹴散らしまくるのもよし。いろいろ試してみるとよいのでは……と思います。

今後の展開
2007年1月現在の予定です。ほかの作者様の許可をいただき、他作者様制作ソフトのキャラをモチーフにした服装などの追加、それにあわせて攻略エリアの追加（行くかどうかは任意）。そしてエンディング後〜続編「こちるだ」の間のお話を追加予定でいます（「こちるだ」はゲームではなく、現在作者サイトの一コンテンツです）。

この作品はできるだけ作者が頭のネジをゆるめ、「ハッチャケられるところはハッチャケる」を目標にやりたいことをできるだけ詰め込みました。よろしければ続編の「こちるだ」ともどもお楽しみください。