テンポのよい戦闘システムが特徴の短編ファンタジーRPG。二人組の冒険者が繰り広げる秀逸なストーリーや、凝った作りのダンジョンなどが魅力。「プリズンナイト」は、剣士「ガイ」と魔術師「シトロン」の冒険を描いたファンタジーRPG。冒険者仲間である二人は酒場で酒を飲んでいたが、シトロンの暴飲と計算違いのせいで酒代が足りなくなってしまう。そこで、酒場の主人は酒代として二人にある依頼を提示する。それは、多くのモンスターが生息する「咎人の古城」に向かったという少女を連れて帰るというものだった。
ガイとシトロンは古城に向かう途中で少女を見つけたものの、なぜか少女は二人から逃げ出して奥へと向かってしまう。プレイヤーはダンジョンを制覇しながら、少女が古城の最奥を目指す理由や、「咎人の古城」の謎を解き明かすことになる。
大きな特徴が、テンポよく戦える戦闘システム。常にガイ+シトロンのペアと敵一体の「2対1」で行われる戦闘は、画面右上のタイムバーがたまったキャラクタから順に行われる。各キャラクタのAGL(敏捷度)が高いほどタイムバーが早くたまるため、敵が1回行動する間に2回攻撃するといったことも可能。通常のターン制バトルよりも敏捷度が重要になっている。
味方キャラクタのタイムバーがたまると行動アイコンが表示される。アイコンには、RPGではおなじみの「通常攻撃」「防御」「逃走」のほか、WP(意志ポイント)を消費する「技能」、敵の攻撃を自分に引きつける「挑発」がある。「逃走」した場合はAGLが半減してしまう。
戦闘中に威力を発揮するのが「技能」。技能には、魔法や必殺技などで敵を攻撃する「攻撃技能」と、回復や一時的なステータスアップを行える「補助技能」の2種類があるが、利用するにはあらかじめ技能を「装備」する必要がある。各キャラは攻撃技能と補助技能をひとつずつしか装備できず、戦闘中は変更できない。特に、戦闘中はアイテムを利用できないため、戦いながらの体力回復は補助技能でしか行えない。技能として装備できるアイテムはダンジョン内の宝箱で見つけられるほか、一部は道具屋で購入することもできる。
技能を使用する際に消費するWPは、通常攻撃を行うたびに少しずつ回復していく。魔術師であるシトロンは通常攻撃以外の行動でも回復する。さらに、WPが足りない場合でも、相棒に「足りない分の2倍のWPを肩代わりさせる」ことで、技能を発動させることが可能で、いざというときや、とどめを刺すといった場合に利用できる。
ストーリー展開は秀逸。唯我独尊を地で行くシトロンと、シトロンに振り回されるガイの漫才のようなやりとりが微笑ましい一方、家出少女や古城の謎には非常に重い真相が隠されている。短編ゲームにもかかわらず、コミカルとシリアスが上手に取り入れられている。
ダンジョン内には、ヒントから罠を解除する方法を推理する類のものから、タイミングが重要となるアクション系まで、さまざまなパズル要素も仕掛けられている。「戦闘ばかりでゲームに飽きる」といった心配はない。