「テキスト管理番」は、複数のテキストファイルを同時に開き、タブで切り替えながら編集できるテキストエディタ。複数のファイルをグループ化し、リストから選択してまとめて開ける「カテゴリーリスト」、スペースキーなどの入力をマウスクリックで行える「OnlyMouseボタン」、編集中の文書に定型句をマウスクリックで挿入する「Shotボタン」などの機能が特徴。通常の使い方なら、既存のテキストを編集しても、元のファイルは改変されない。

テキストエディタとしての機能やインタフェースは、Windows標準の「メモ帳」をベースに強化を図ったもの。メモ帳にはない機能として、左寄せ/中央寄せ(センタリング)/右寄せ表示を行えるほか、改行コードの表示も可能。既存のテキストファイルは、ドラッグ＆ドロップで開ける。タブは、コンテキスト（右クリック）メニューなどから追加したり、名前（ファイル名）を変更したり、保存したりすることが可能。タブの順番の入れ替えもドラッグ＆ドロップで行える。

画面上には「OnlyMouseボタン」「Shotボタン」各4個ずつが配置され、OnlyMouseボタンではスペース/【BackSpace】/【Delete】/【Enter】の各キー入力をボタンクリックだけで行える。Shotボタンでは、ユーザがあらかじめ登録した定型句を、ボタンクリックだけで挿入できる。

特徴のひとつが、「テキスト管理番」というソフト名の通り、複数のファイル（タブ）をグループ化して管理できること。「カテゴリー」を作成することで、同一カテゴリーのファイルを同時に開いて編集できるようになる。例えば、「旅行」「グルメ」などのカテゴリーを作成し、カテゴリー内で印象や評価などを観光地/飲食店ごとのファイルに入力しておけば、カテゴリーを選択するだけで、関連文書をまとめて閲覧できる。カテゴリーは、ドロップダウンリストで簡単に切り替えられる。

さらに、一般的なテキストエディタと大きく異なるのが、編集中のテキストは、読み込んだ元ファイルとは独立している点。既存のテキストファイルを読み込んで編集・保存しても、元のファイルは変更されない。編集結果は、「テキスト管理番」が管理するワークファイルに保存される（もちろん、ユーザが明示的にファイルを指定して、現在編集中のテキストを上書きすることは可能）。また、編集中のファイルを保存せずに「テキスト管理番」を終了しても、ファイルは自動保存され、次回起動時に前回終了時の状態が復元される。

実をいえば筆者も、最初はこの「テキスト管理番」の外見に惑わされた。ごく普通のテキストエディタのようにして使いはじめてみると、編集したはずのファイルが保存されておらず、とまどった。また、単にテキストエディタとしてこのソフトを見てしまうと、正直厳しい見方しかできない。例えば、編集機能に特別高度なものがあるわけでもなく、失礼ながら「メモ帳に毛が生えた程度」でしかないからだ。

ところが、よくよく使ってみれば、実にユニークなのだ。なにより、どのファイルとどのファイルを開いていて、かつ、それぞれのファイルのどのあたりの部分を見ていたか、というのを自動的に覚えておいてくれるのが便利なのである。例えば、プログラム開発などの際に、既存のソースファイル（しかも複数）を参照しながらコーディングをする、ということはよくあるだろう。こんなとき、通常のエディタであれば、いったいいくつのファイルを開いていたかは、いったん終了してしまうとわからなくなってしまうわけだが、「テキスト管理番」ならそんなことはない。しかもエディタと違い、うっかり一部を書き換えてしまっても、元のファイルを壊すことはないのだ。

ソフトの価値は一見しただけではわからない。これを痛感させられた。

話をよく聞いてみると、家内がイメージしていたのは、タブ式のメモ帳。ベクターさんで調べてみると、すでにフリーソフトとして数種類のタブ式エディタやリーダがあったのですが、タブだけではページはたくさんできるけど分類や整理はできません。それでは、分類軸を設けて、［分類］× ［頁］で立体的にテキストを管理してはどうだろう。こうして、病体に鞭打ちながら「テキスト管理番」の開発がはじまったのです。

「よしっ、やってみるか」と開発に取りかかったものの、なかなか前途多難でした。Windowsに付いている「メモ帳」って馬鹿にしたものじゃないんですよ。基本的な技術がたくさん詰まっていて。にわかプログラマの私には結構いい勉強になったんですよ。そして、本当はいまもまだ苦労しているのです（笑）。バージョンナンバーがまだ1.0以上になれないのは、そんな意味があるんですよ。早く1.0以上を与えられるソフトに成長させてあげたいと思う「親心」ならぬ、「作者心」。

で、まぁ、なんとかかんとか使うことのできるソフトになって、家内が一番便利に使っているかと思うと、そうでもないんです。このところ料理にもはまっている作者自身が、自慢の「レシピ帳」やプログラム等の「アイデア帳」として便利に活用しているんです。もちろん家内も「ネタ帳」として。

まだまだ修正や改良の余地はたくさんあるソフトですし、使い方次第で可能性の広がりもあると思います。作者としましては、ユーザさまの声援や反響次第でバージョンアップする意欲も湧くものです。あなたはどんな使い方をしますか？