国家存亡の危機に瀕した祖国を救うために、敵国で諜報活動を行う諜報員(スパイ)を主人公にした異色のRPG。疑念を抱かれないよう注意しながら敵国要人から情報を引き出し、秘密警察の追求をかいくぐって、祖国に貴重な情報をもたらすことが目的。「SPY」はその名の通り、一人の諜報員(スパイ)の活躍を描いたRPG。主人公の名はシオン・クラート。これまでにも困難な任務を成功させて祖国を勝利に導いてきた、実績のある腕利き諜報員だ。
現在、シオンの祖国「ジラルダン王国」は、東の「バルバドール国」と交戦状態にある。すでに経済・軍事両面で重要な拠点であるダーバッハ半島がバルバドールに占領され、王都陥落の危機も目前。広大な領土を持ち、経済力・軍事力に恵まれた大国のジラルダンがこれほどのピンチに陥っているのは、西の「ヴァンデッタ国」との緊張関係で兵力が二分されていることによる。この兵力を東に投入することさえできれば戦況は一変するだろう。果たしてヴァンデッタは、隣国「フォンテーヌ国」を併呑した余勢を駆ってジラルダンに攻めてくるのか、それとも侵攻の意思はないのか──ジラルダンの運命は、この一点にかかっている。
ヴァンデッタの真意を探るために、シオンが送り込まれる。一刻も早く確実な情報を入手し、本国に報告することができなければ、祖国は滅びてしまう。先に敵国に潜入している仲間の諜報員と協力し、困難極まりない任務を成功させる……という緊迫感の漂うストーリーが展開される。
ヴァンデッタに潜入したシオンの身分は、「ランスモール新聞社」の記者。この肩書きを上手に利用して、ヴァンデッタの内情を探るのがゲームの基本。取材を通じてさまざまな人間と知り合いになり、コネを作りながら少しずつ情報を得てゆく。行動期間はおよそ1年。行動の最小単位は1週間となっている。
周囲の人間に疑いを抱かれたり、秘密警察に目をつけられたりしないよう、主人公の日常は普通の新聞記者と同じものとなる。パブなど人の多く集まる場所をまめに訪れて聞き込みをし、記事になりそうな情報をコツコツと拾い集めなくてはならない。時に、仲間の新聞記者たちの取材に協力したり、彼らが手の回らない記事を代わりに引き受けたりすることもあれば、所長からテーマや資料を与えられ、記事の執筆を命じられることもある。
こうして新聞記者としての生活を続けることで、少しずつ土地勘を身につけ、要人たちとのつながりを深めてゆく。ゲーム開始時点では、主人公の移動できる場所は非常に限られたものだが、仲間の新聞記者たちに連れて行かれたり、取材相手から位置を教えられたりすることで、次第に行動範囲が広がる。
情報は、基本的にその情報を持っている人間との会話から入手できるので、要人と知り合いになったらなるべく足繁くそのもとを尋ねるようにしよう。相手の信頼を得て、国政に関する意見を求められたり、頼まれごとをされたりするようになればシメたもの。ただし、時にはこちらの言動を不審がり、スパイであることを疑われることもあるので、注意が必要。洞察力をフルに働かせて、相手の質問などには常に最善の答えを返せるよう努力しよう。
すべての調査を自分一人で行おうとは思わず、仲間の諜報員と情報を交換したり、諜報活動を依頼したりすることも重要。仲間と協力し合うことで、自分だけでは入手不可能な情報を得られることもある。作成した報告書の本国への送付や任務完了後の脱出などにも仲間の協力が必要なため、仲間との信頼関係の確立は決しておろそかにしてはならない。