怪我の治療などができる不思議な力を持つ法術師の卵「リックス」と、幼なじみで鍛冶師見習いの「シュナイト」は、ともに小さな村で冒険者を目指す少年。彼らは日々ダンジョンに潜って腕を磨いていたが、手に入るのは取るに足りないアイテムばかり。そんなある日、情報屋から得た情報をもとに向かったダンジョンで、二人は初めて貴重なアイテムを手に入れる。しかし、喜ぶ二人の前に、「そのアイテムを渡してほしい」という魔術師の少女「ミリア」が現れる。

一見優しくて人当たりはよいが、シュナイトにだけは鋭いツッコミを入れるリックスと、冷たい口調ながらも人情に厚いシュナイト。生真面目で正義感が強く、猪突猛進型のミリアと、主人公たちは個性的な人物ばかり。彼らはそれぞれの想いと目的のために一緒に旅を続け、先々で出合うさまざまな危機に立ち向かっていくことになる。

戦闘の難易度は高めで、序盤から比較的強い敵が登場する。そこで重要になるのが「武器の種類」。「剣」「大剣」「槍」「弓」など、それぞれ特徴を持つ計7種類がある。例えば、槍は攻撃力が高くないが、相手の防御力を半分無効にするので、防御力が高い敵に対して有効。また、空中の敵への攻撃力は、他の武器では1/4に減ってしまうが、弓だけは2倍のダメージを与えられるといった具合。

さらに、「武器持ち替えシステム」が大事なポイントだ。味方キャラクタは装備画面で武器を二つまで装備でき、戦闘中に特殊コマンドの「武器持ち替え」で、使用する武器を入れ替えられる。ほとんどのダンジョンでは、「防御力が高い」「空を飛ぶ」など、似た傾向の敵が出現するので、傾向に応じた武器を装備しておくとよい。

ゲームの最大の特徴ともいえるのが、途中から利用可能になる「鍛冶システム」。鍛冶見習いのシュナイトを操作して、武器を作り出すミニゲームだ。武器の元となる鉱石を手に入れて、シュナイトの家などにある炉で製作する。鉱石の種類は複数あり、希少な鉱石ほど、高性能の武器を作ることができる。

鍛冶を開始すると、画面右下に「硬度」「耐久」「熱量」の各ゲージが表示される。武器の元となる鉱石を叩いて、硬度ゲージを満杯にすれば武器の完成となる。ただし、

• 硬度を上げるには、鉱石がある程度以上熱せられている必要がある
• 鉱石が熱くなりすぎると、鉱石の耐久度が下がる
• 耐久度と熱量が一定以上に下がると、硬度が上がりにくくなる

鉱石を叩くタイミングも大事な要素。ベストのタイミングは2回/秒程度だが、速く叩くと耐久度が一気に下がり、遅いと今度は硬度がほとんど上がらなくなる。プレイヤーは各ゲージを確認しながら、炉と作業台、水場の間を【←】/【→】キーで移動しつつ、作業台で【↓】キーを押して鉱石を叩くという作業を繰り返すことになる。

周囲の登場人物たちも魅力的だ。リックスの唯一の家族で、彼の拠り所でもある姉の「アリシア」、冷徹さと子どもらしさをあわせ持つ天才魔導師「アッシュ」、重要な情報を与えてくれる謎のお姉さん「シャロン」など、進行に深く関わってくるキャラクタが多く、一言一句を見逃せないストーリー展開を楽しむことができる。

ゲームの特徴でもある鍛冶システムは、難易度がかなり高めだ。コツをつかむまでは、低品質の武器を作るのにも苦労するだろう。それだけに、高ランクの武器を作成できたときのうれしさは大きい。なお、ダンジョン内の宝箱や街の店などでも、ある程度の武器を入手することが可能なので、「鍛冶に時間をかけるよりストーリーの先を知りたい！」というプレイヤーも安心して楽しめるだろう。

魅力的なストーリーと手応えのある戦闘、そしてミニゲームやパズルダンジョンと、楽しむための要素が詰め込まれた「風の色、鮮やかに」。初心者から上級者まで、鍛冶にこだわりを見出した人や、純粋にストーリーを楽しみたい人など、万人にお勧めできるバランスのよい作品だ。

開発中に苦労した点
普通は話しかけもしないであろう村人との会話や、洞窟の作り。誰でもできそうな地味な作業が、実は一番大変で苦労させられました。また、それぞれのキャラクタ独自の「色」を出すのにも苦労しました。一人でさまざまな個性を作り出すのは、なかなか骨が折れます。

ユーザにお勧めする使い方
本作では、ストーリーにかなりの力を注いでいます。またシステム的にもバランス面にはかなり気を使い、戦術に頭を悩ませながらもテンポよく進んでいきますので、存分に物語を楽しめるはずです。紹介文にもあります通り、この世界の風を感じていただければ幸いです。

今後のバージョンアップ予定
特にはありません。あれば、バグフィックスがメインだと思います。

最後に一言
ゲーム制作中、楽しいことばかりではなく、いろいろと辛いこともありました。それでもちゃんと作品を完成できたのは、ゲームをプレイしてくださったみなさまのお陰であり、感想や応援をしてくれたみなさまのお陰でもあります。この場を借りて、感謝の意を表したいと思います。