伝説に残る宝珠「レディパール」を探して世界を旅する、という設定の長篇ファンタジーRPG。コミカルさとシリアスさが入り交じったストーリーと、個性的なキャラクタが魅力的。イベントやアイテムが豊富で、プレイヤーを飽きさせないための工夫が詰め込まれている。「LADY PEARL」の舞台となる大陸には、ひとつの伝説が伝えられていた。曰く、遠い昔、世界は異世界との境界が曖昧になり、侵略の危機にさらされていた。これに立ち向かった神官「聖アビス」とその仲間たちは、「八宝珠」という宝石を使って異世界との扉を閉じることに成功する。こうして平和は訪れたものの、「霧」や魔物といった異世界の残滓が残ったまま現代に至っている……と。
主人公の「イドリー」は、美術品などの競売を行う大手オークショングループ「アリス」の本社に所属する敏腕オークショニア。鋭い審美眼で天才オークショニアとまでいわれたイドリーだが、関心はもっぱら、伝説の「八宝珠」、別名「レディパール」を探す旅に出ることにあった。イドリーを失いたくないアリスは、二人の少女をお目付け役として同行させることにした。
「LADY PEARL」の最大の魅力は、主人公をとりまく個性豊かなキャラクタたち。例えば、お目付け役の一人「クー」は、自らを美少女と公言してはばからない元気少女。卓越した銃の腕と強力な魔法の知識によって戦闘では大活躍するが、すぐに暴走してしまうという悪癖を持っている。ほかにも、特徴的なキャラクタたちが多数登場し、漫才のような会話を楽しむことができる。
プレイ中に突発的に発生する「ASE(Another Sight Event)」は特徴的なシステムだ。主人公がダンジョンで戦ったり、イベントをこなしたりしている間に、「他のキャラクタが何をしていたのか」を見ることができるイベントで、個性的な登場キャラたちの側面を覗き見ることができる。また、特定のキャラクタと特定の空き部屋に入ることで発動する「空き部屋の冒険」というイベントもある。イベントには、ステータスが変化する実用的なものも用意されている。
アイテムなどを収集する楽しみが多いのもポイント。なかでも種類が多く、役に立つのが「調合材料」。宝箱を開けたり、敵を倒したりして入手したアイテムを錬金術師に渡すことで、新しいアイテムや装備を作成することが可能。ただし、数に限りのある材料もあるので、すべてのアイテムを調合するのは難しい。そのほか、ゲーム中盤で発生する「食材集め」のイベントや、街の中に逃げ出した動物を探し出して捕まえるといったミニゲームも用意されており、メインストーリーで行き詰まったり、ダンジョンでのレベルアップに飽きたりした場合の息抜きとして楽しめる。
もう一人のお目付け役「エリア」が戦闘時に使う「歌」を探すのもお楽しみのひとつ。エリアだけは他のキャラクタと異なり、レベルアップしても技を覚えることがない。そんなエリアが技を習得する方法が、各地にちらばった「歌」を集めること。各地においてある本を調べたり、町の人々に話しかけたりすることで、さまざまな歌を手に入れられる。