「Super MPEG2 Transcoder」は、MPEG-2形式の動画ファイルを読み込み、ビットレートなどを変更した上で再度、MPEG-2形式のファイルに出力するトランスコードソフト。独自の変換エンジンを搭載し、非常に高速に処理することが可能。変換では、フレームサイズ（解像度）やフレームレート、画像の縦横比（アスペクト比）、音声などは変更は行わず、圧縮率のみが変更される。

機能はシンプルで、使い方も非常に簡単。基本的には、変換元ファイルと圧縮率、出力先フォルダをメイン画面で指定するだけでよい。変換元ファイルは複数を指定することが可能。ダイアログでの指定のほかに、エクスプローラなどからドラッグ＆ドロップで指定することも可能だ。

圧縮率の指定方法は、一般的なエンコーダと異なりユニーク。一般的には、圧縮率は動画のビットレートなどで指定するが、「Super MPEG2 Transcoder」では、「変換元ファイルのサイズに対する再圧縮後のファイルサイズが何％になるか」で指定する。例えば、変換元MPEG-2ファイルのサイズを半分にしたい場合は、「50％」と指定すればよい。変換元に複数ファイルを指定した場合は、圧縮率は各ファイルに対し、個別に指定できる。選択済みのファイルリストから複数のファイルを選び、一括で圧縮率を指定することも可能だ。

特徴のひとつが、変換元（オリジナル）はもちろん、圧縮後の動画を変換実行前にプレビューできること。動画全体ではなく、先頭部分の数十秒分だけを一時的にトランスコードすることで実現しているもので、ほとんど待ち時間なしで実際の画質をプレビューできる。

同じ形式同士での変換というと、「なぜ、そんなことが必要なのか」と思う人も多いかもしれないが、ことMPEG-2に関していえば意外にニーズは多い。例えば、最近のTV録画ボードはほとんどがMPEG−2形式での録画をサポートする。MPEG-2はDVDでもサポートされているため、普通に考えると、録画した内容をDVDに保存できそうなものだが、実はここで問題が生じる。というのはDVDの場合、4.7GB（片面一層）という限られた容量のため、高画質で記録しようとすると1時間程度しか記録できないのだ。

であれば、最初からDVDに向く低いビットレートで録画しておけばよいと思うかもしれないが、しかし、「どうせ録画するならできるだけ高画質で残しておきたい」と思うのも人情だろう。つまり「ハードディスクに録画するときにはできるだけ高画質で」「DVDに入れるときだけビットレートを下げる」といった保存の仕方をしたいのである。

単純なことのように思えるが、実はこれが意外に難しい。というのは、DVD作成ソフトは、再エンコードが必要な場合、たとえ元の動画がMPEG-2ですでにエンコードされていても、馬鹿正直にもう一度MPEG-2で「エンコードし直し」をすることが多いからだ。こんなことをすれば時間がかかるし、画質だって落ちる。

「Super MPEG2 Transcoder」のキモは、実はここにある。MPEG-2からMPEG-2への変換なので、動き検出やシーンチェンジの検出といったMPEG-2特有の時間のかかる処理は、オリジナルファイルの時点ですでに行われているはず。これを前提として、純粋にデータの圧縮率を上げることだけに集中しているのだ。だから処理はきわめて高速。

実に単純な機能のソフトではあるが、普段のキャプチャにMPEG-2を使っている人にとっては、非常に便利だと感じられることは間違いないだろう。