「つるちゃんの天文カレンダー」は、1900年から2200年までの天文現象を自動計算し、表形式の月間カレンダーで表示してくれるソフト。（標準設定で）カレンダーでは曜日に加え、それぞれの日の「月齢（月の満ち欠けの状態）」「日の出」「日の入」「月の出」「月の入」の時刻を確認できる。何らかの天文現象がある場合は、その現象に関する説明と発生時刻も表示する。いつ、どのような天文現象が発生するのか、ひと目でわかるようになっている。

起動時に表示されるのは当月のカレンダーだが、もちろん任意年月のカレンダーを表示することが可能。西暦1900年から2200年まで、約300年間という広い期間から選択することが可能で、例えば「自分の誕生日にどのような天文現象があったのか」といったことも確認できる。カレンダーには曜日も表示されるため、万年カレンダーとして利用することも可能だ。

カレンダーで表示対象とできる天文現象は、大きく分けて13種類。日食・月食、流星群の発生、月や惑星の接近などといったものから、近日点・遠日点、衝（ある天体が地球と太陽を結ぶ直線の延長線上にあり、太陽・地球・その天体の順に並ぶこと）や合（ある天体が地球と太陽を結ぶ直線の延長線上で、地球・太陽・その天体の順に並ぶこと）などの専門的な現象まで、さまざまなものから選択して表示させられる。さらに、立春・立夏・立秋や処暑といった、日本ならではの「こよみ」上の呼び名を示す二十四節気や雑節を表示させることも可能。表示対象の切り替えは、画面左側に用意されたチェックボックスで簡単に行える。観測地は、日本および世界の主要都市や昭和基地、南極・北極地点から選択できる。

さらに、太陽系のメンバーのうち、天王星・海王星・冥王星の各惑星、小惑星、彗星に関しては、計算対象とするかどうか（データとして表示するかどうか）も選択できる。彗星は、標準で20の彗星データが登録されており、この中から二つを選択できる。ユーザが彗星データを登録することも可能で、標準の20を含め、最大100個のデータを登録できる。

そんな人にお勧めなのが、この「つるちゃんの天文カレンダー」だ。その月に発生するイベントが一覧でわかるので、毎日この画面を確認さえしていれば、嫌でも天文イベントの発生に気づく。すべてのイベントを表示した状態だと、かなり数多くのイベントが表示されてしまうが、日食や月食、流星群イベント程度に限定しておけば、それほど数多くも表示されなくなるし、しかも天文に興味がないような人でも「へぇー」と思うくらいの注目度がある。「今夜は○○流星群が極大なんだよ」なんていうのは、トリビアというわけでもない、ちょっとした知識として役に立つかもしれない。

しかし、1ヵ月の情報すべてが表示されるといっても、ある程度定期的にカレンダーを見ていなくては、結局重大な情報を見逃してしまう。しかし、その点でも「つるちゃんの天文カレンダー」はよくできている。土日および休祭日といった、普段の生活に密着した、いわゆる「普通のカレンダー」に必要な情報もしっかり網羅されているからだ。二十四節気が表示されるのもよい。これなら普段のカレンダーとして使っても、実用に耐えるだろう。

つまり、ちょっと画面は大きいとはいえ、普段は単に日付を確認するだけのカレンダーとして使用しつつ、天文イベントも確認する、といったことができるわけだ。日の出/日の入時刻というのも、それなりに便利な情報であるし、天文に興味がある/ないにかかわらず、便利なソフトなのではないか。

開発中に苦労した点
以前に作成した「つるちゃんのプラネタリウム」というプログラムの土台があったので、天体の位置計算ではあまり苦労はなかったのですが、祝祭日の計算にはちょっと参ってしまいました。1949年以前は元旦がない、5月4日は振替休日になったり国民の休日になったり、敬老の日は2003年からはハッピーマンデー……。そういえば、みどりの日は以前、天皇誕生日でした。

それから、プログラム内部では計算、計算、また計算。これでは表示までの時間がかかり過ぎてしまうので、計算回数を減らすように工夫しました。それでもスペックの低いパソコンだと処理が重いかもしれません。

ユーザにお勧めする使い方
「つるちゃんの天文カレンダー」では西暦1900年から2200年まで対応しているので、いろいろ年月を変えながら天文現象を調べてみるとおもしろいと思います。太陽と月の出没時刻表も表示されるので、何かと便利です。これであなたも天文予報士!?

今後のバージョンアップ予定
近い将来、月齢カレンダーと旧暦変換カレンダーの機能を組み込む予定にしています。フリーソフトのままでがんばります！