「PowerDVD 5 デジタル放送対応版」の最大の特徴は、「CPRMにより著作権保護されたDVDを再生できる」こと。CPRM（Content Protection for Recordable Media）は、BSデジタルや地上デジタルなど、著作権保護のための「コピーワンス信号」が付加された放送を、DVDレコーダで録画した際に用いられる技術。録画したメディアを、さらに他のメディアに複製することができなくなる。パソコン上でCPRMメディアを再生することは本来、可能だが、従来のソフトウェアDVDプレイヤーでは対応していなかった。「PowerDVD 5 デジタル放送対応版」は、CPRMメディアを再生できる初のDVDプレイヤーだ。従来の「PowerDVD 5」の機能をすべて引き継ぐほか、従来バージョンにない機能として「モバイル電源設定」機能が追加された。

「PowerDVD 5」シリーズならではの再生機能として「CLPV（CyberLink PanoVision）」を搭載する。通常サイズ（4：3）で収録されたDVD画像をワイド画面（16：9）に伸張する際、より自然にワイド化できる。「CLPV」では、単純に横方向に伸ばすのではなく、ワイドテレビが行っているように、画面中央付近は伸張度を小さく、両端部は伸張度を大きくすることで、より自然な感じでのワイド化が実現される。

画質面では、再生される画像の内容に合わせて、明るさやコントラスト、彩度などを自動的に最適化する「CLEV（CyberLink Eagle Vision）」機能が用意されている。さらに、再生時間を0.5〜2倍速まで変化させられる「タイムストレッチ」機能もある。早送りやスローモーション再生とは異なり、再生中にも音声が出力されるため、ソフト全体を「早見」するような場合に有効だ。

「デジタル放送対応版」で新たに追加された「モバイル電源設定」機能は、再生時にCPUの負荷を軽減するよう、デコード画質等をコントロールするもの。負荷が軽減されることで、特にノートパソコンでバッテリ駆動している際、駆動時間を延ばすことが可能となる。

CPRM対応メディアには、DVD-RAMとDVD-RWの2種類があり、録画時のフォーマットとしてはDVDビデオレコーディングフォーマット（DVD-VRF）が使われる。ここまではいいが、これまで問題だったのは、こうして録画されたメディアは、パソコンでは一切再生できなかった点にある。実は、単なるDVD-VRFだけなら、従来のソフトウェアDVDプレイヤーでも再生可能だったのだが、CPRMではパソコンを用いても複製できないようにするために、コンテンツを暗号化して記録している。このため従来のプレイヤーでは、再生することができなかったのである。

振り返ってみると、DVDプレイヤーは、DVD規格の拡張に合わせるようにどんどん高機能化してきた。特にDVD規格が発展途上のころは、リージョンコントロールされたDVDへの対応、ドルビーデジタル（AC-3）やdtsなどの新たな音声フォーマットへの対応、書き込み型DVDをはじめとした新しいDVDメディア/DVDフォーマットへの対応など、ソフトウェアDVDプレイヤーはバージョンアップするたびに新しい機能を追加してきた。

DVD規格が固まってきた最近では、こうした「新フォーマットへの対応」はやや落ち着いてきた感があったので、今回のCPRM対応は、まさに「久しぶりの新フォーマット」といえよう。従来バージョンへのアップグレードも用意されているので、ニーズに応じて最適な製品を選択したい。

なお、デジタル放送版における追加機能は、従来の「PowerDVD 5」に対する追加モジュールという形でも提供される。「PowerDVD 5」には、音声機能の違いにより「Standard版」と「Deluxe版」の2種類が存在するが、それぞれに対して専用のモジュールが用意される。

開発中に苦労した点
エリア自体はまだ全国に普及しているわけではありませんが、地上デジタルでのコピー制御が開始される4月にリリースすべく、調整を行った点。また、本対応に関しては、弊社のアプリケーションのみでは成立しないので、リリース時期に合わせて、各ドライブメーカ様への対応状況確認が大変だったかと思います。