ソフトを開発しようと思った動機、背景
20年前からしばらくの間、ソフト屋さんに依頼してCADを作ったり、作ろうとしたことがあります。でも、意図通りのものでなかったり、諸事情で中止になったり……。5年ほど前に「私の提案するものは自作しよう」と思い立ち、毎日コツコツと作りためてきました。文書作成ソフトを使うと、思うようなレイアウトができなかったり、親切機能があだとなって、余分な処理をしてくれたり、動作が遅くなる機能や融通の利かない機能があったり、罵声を浴びせながら使うこともたびたびでした。CADを使うと、やたらと操作回数が多くて、正直いって疲れます。覚えることもたくさんあります。バージョンが高くなるほど使いづらくなったりして……。一貫性に欠けることもあります。
画像ソフトで印刷しようとしたとき、用紙との関係がややこしくて、思うようにいかないとがっかりします。美しさを徹底するとそうなるのかもしれませんが、そこまでしなくても済む場合もあるじゃないですか。
私の使っているハードもOSもアプリケーションも古くて低性能ということもあるのでしょう。でも、作る側の論理で作られているソフトが多いこともあると思います。私はもともとソフト屋ではないので、負担はオペレータではなくてコンピュータが負うべきである、と勝手に思っています。ユーザサイドでどこまでできるか試してみよう、という気持ちもありました。
開発中に苦労した点
プログラム作成は師匠なしの完全独学です。正直言って、Windowsプログラムのブラックボックスの部分の解明には一番時間がかかりました。アプリケーションを作るとき、とかく目に見える機能を早く作りたい気持ちに駆られます。その気持ちは我慢に我慢を重ねて抑えました。高速に処理するためのデータベースの形からはじめ、背後に隠れた補助機能と表の主機能とオペレータの操作との整合性というか、ソフトの構造性と一貫性を取ることに、期間の8割を費やしました。この間、絶えず作り続けるには、忍耐が必要でした。
ルーチンもアルゴリズムもすべてひとりの自作です。コツコツ作ったからできたのだと思います。最初から仕様書があったら、その量を目の当たりにしてギブアップしていたかもしれません。単機能ソフトと違い、機能が縦横に関係しているのも面倒な点でした。
最後に主機能を作り上げました。しかし、もう一つ難題があることがわかりました。慣れればとても使いやすいソフトができたのですが、初めての人がこの多機能ソフトの使い方を理解するにはどうすればよいか、ということです。結局は操作性を少し落としてでもわかりやすい方向に、と再編成しました。そして個人にしては過分と思われるほど、絵付きのヘルプを作りに作りました。これも、なかなかきつかったです。
ユーザにお勧めする使い方
文字がほとんどの文書なら、従来の文書作成ソフトがよいでしょうが、図形や絵が多くなったら、迷わずこのソフトを思い出してください。独特のおもしろい機能もたくさん入っています。それぞれに使い道がありますから、ぜひ、みなさんのウィンドウにも飾っていただけたらと思います。通常のWindowsソフトの操作とちょっと違和感のある部分もあるかと思いますが、この方法で莫大な省操作が実現できるのです。最初に拒否反応を起こさないで、温かい気持ちで試してみてほしいです。
今後のバージョンアップ予定
現バージョンで一定の安定した状態になりました。残りの不具合は、わかった段階で折々に直していきます。あるといいなと思う機能も、メモにたくさんたまっています。優先順位を決めて、機を見て付け加えていく予定です。ある時期に、あっと驚くバージョンを……。腹案です。
■紹介記事への補足(編集部のご厚意による追加記載:2003/09/18)
ドローソフトのような定型パターンを作るコマンドは、矩形(傾斜矩形も含む)、円、円弧、多角形、楕円化、楕円弧化、ハッチング、オフセット、などが一通り揃っているので、形状をいつも「線分を一つひとつ描いて実現」する必要はありません。さらに、シンボルコマンドは、「Ours」の図形データファイルそのものをシンボルデータとできる特徴を持ち、複雑な形状も角度と尺度を変えて連続して配置できます。
ソフト開発の動機にも書きました通り、CADの操作回数の多さを回避するということが、大きな開発目的の一つです。図形の指示は左クリック、点の指示は右クリックという操作は、そのための手段の一つです。その他のいろいろな工夫で、「Ours」のコマンドの指定回数やデータの入力数は、従来のCADに比べ格段に少なく、操作の流れは大変にスムースです。
寸法線コマンドは、「OursPro」が持つ機能です。「OursForm」では、寸法線の表示、印刷、通常の編集(消去やコピーや変形など)はできますが、作成、編集(形状変更など)はできませんので、ご注意ください。
「Ours」の特徴の詳細については、下記のホームページをご覧ください。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA035301/
(草雲)