ADSLや光ファイバといった「ブロードバンド接続」の普及により、国内のインターネット環境は大いに改善されつつある。しかし残念ながら、こうした恵まれた環境は誰でも使えるというわけではない。CATVやFTTHといった環境はある程度の規模の都市でないとサービスが行われていない場合は多いし、比較的対応エリアが広いADSLの場合であっても、例えば電話局から遠くてADSLが利用できなかったり、途中の経路が「光化」されていたりなど、さまざまな条件によって利用できない場合がある。また、PHSや携帯電話を利用するモバイル接続の場合も、昔に比べて条件はよくなったとはいえ、まだまだ低速だ。さらに悪いことに、最近はブロードバンドの普及を前提にして、サイトデザインをより「広帯域」向けにする例が多くなりつつある。つまり、より「恵まれた人」に条件を合わせたページが増えてきているため、低速接続しか利用できない人にとっては、相対的に条件は悪化しつつあるというわけ。
「i-Accele」は、そうした人たちにとっては福音となる可能性を秘めたソフトだ。筆者はモバイル接続にAirH" 128kbpsを使用しているのだが、「i-Accele」が「オン」の状態と「オフ」の状態では、はっきり体感できるほどに速度は違う。これまではモバイルだからと表示するのを避けていたような大きなページでも「スッ」と表示できる印象だ。ページの構成にもよるが、アクセス速度は明らかに数倍以上となっているであろう。
ただし、画像圧縮にともなう画質劣化をまったく感じないというわけではない。もともとがJPEG画像である場合には比較的違いは感じずらいが、GIFのように「かっちりした」画像の場合にはやはり違いはわかる。
とはいえ、これだけの軽快さが手に入るのであれば、これはもう「許容範囲」としてもいいレベルであろう。どうしてもオリジナル画質が必要なのであれば、そのときだけ「オフ」に切り替えればよいだけなのだ。低速な接続にイライラしている人にとってはお勧めのソフトといえる。
(天野 司)