「Mail Manager Pit」は、複数のメールサーバの着信状況確認を行ってすべてのメールを取り込み、設定した条件に従って複数のメーラへメールを振り分ける機能を持つユーティリティ。マルチアカウントに対応するほか、複数のアクセスポイントを自動巡回することもできる。

ローカルなPOP/SMTPサーバとして動作し、すべてのメール送受信のゲートウェイとなる。着信したメールを通常のメーラで受信する前にチェックすることが可能で、ウイルス付きメールや広告メールなどの不要なメールを、自動または手動で削除できる。LAN、ADSL、モデムによるダイヤルアップなど、ほぼすべての通信環境に対応する。

本体は、小型のランチャ風のバーとして常駐。ここから手動巡回やメーラの起動、回線の接続・切断などをボタンクリックひとつで行うことができる。メールのコントロール設定を行う送受信箱もこのバーからワンタッチで開ける。メールサーバを巡回してメールを取り込むと、ポップアップウィンドウを表示し、音声とともにメールの着信を通知する。このポップアップウィンドウは、着信したメールごとに異なるものを表示させることが可能だ。ポップアップウィンドウの右クリックからもメーラの起動などを行えるようになっている。

送受信箱では、ヘッダ情報の表示、メール種別の表示（HTML付き、PostPet等の区別）などを行えるほか、ちょい見表示機能でメール本文を参照することもできる。ちょい見では、HTMLメールの表示も可能だ。ウイルスメールやスパムメールなどの不要なメールをこの段階で削除できるのはもちろん、MAILER-DAEMONによる返信を装ったUser Unknownメールを返信することも可能だ。また、受信したメールのうち、あらかじめ設定した条件に適合するメールだけを携帯電話などへ自動転送したり、送信メールのヘッダ情報を書き換えたり、送信先を自動的に置換したりといった操作も行える。

アクセスポイントやメールアカウント、対応するメーラなどは、ウィザードを使って設定する。「同一ユーザが複数のメールアカウントを使い分ける」「複数のメーラを用途に応じて使い分ける」といった複雑なメール処理も行える。

メインに使っているメーラーのフィルタ機能だけでは、どうにもうまくいかない処理が多かったが、「Mail Manager Pit」ならば複数の条件を組み合わせて、特定のメーラに特定の種類のメールだけを受け取らせるということが可能になる。また、広告メールなど、受け取りたくないメールが来るたびに、簡単にリストに登録して除外指定できるのもいい。さらにUser Unknownでエラーを返すことができるのは、筆者がまさに待ち望んでいた機能だ。

そうしたメール管理機能に加え、簡易ランチャや付箋紙、スケジュールカレンダー、キーボードマクロなどのアクセサリ機能が装備されているため、いままで使っていた常駐アプリがかなり不要になってしまった。

開発中に苦労した点
当方のソフトの一番のコンセプトは「軽くて高性能」です。「Pit」は「常駐」を前提にしているので、そのコンセプトがなによりも最優先されます。しかも「Pit」では多機能さも実現させたいために「実行ファイル分散形式」を採用しました。これは、常駐しているのは基本ソフトのみで、あとは必要に応じて「Pit」が他のソフトを起動・制御するという方法です。このために複数の実行ソフト（2002年8月時点で15本）を作成しなければなりません。しかし、これにより軽いだけでなく、パソコンに優しい常駐を実現しています。

今後のバージョンアップ予定
「Pit」用の「パネルの模様」「ボタンのアイコン」「動画」「サウンド」等のライブラリや、「着信連絡方法」の実行ソフト等もたくさん作成していく予定です。なお、「Pit」自体も頻繁にアップデートを行っていく予定です。ダウンロードはかなり重たいので（約12MB）、ご希望の方にはフルセットアップディスクを郵送するサービスも行っています。詳細はMicrosony HomePage（http://www.microsony.com/）に書かれていますので、ご参照ください。また、質問や要望事項等は、お気軽にメール・BBSで連絡してください。

こんなユーザにお勧め
次のようなユーザの方にお勧めします。

• 複数メールアドレスを使い分けている
• 複数アクセスポイントを切り替えながら使っている
• 複数メーラを使い分けている
• 複数ユーザが「Pit」をメールサーバとして使いたい
• 送る相手によってメールのヘッダを修正している
• 迷惑メールが多い
• ウイルスメールが多い（検出はしません）
• 受信メールを行数指定で携帯などに転送したい
• メールチェックで重たいメーラを常駐している