写真などの画像ファイルを題材に、「絵師」が絵を描くというユニークなシミュレーションソフト。さまざまな個性を持つ絵師をユーザが使い分けられるだけでなく、描画を重ねるうちに、絵師自らがタッチを変化させていく。「絵師のえそらごと」は、BMPまたはJPEG形式の画像を絵画風に加工するためのソフト。ただし、ユーザが直接、編集を行うのではなく、塗り方や色使い、輪郭の描き方などに特徴を持つ絵師を選択して、この絵師が絵を描いていくという形になっている。絵師はユーザが作成できるほか、作者のホームページからデータをダウンロードして使用できる。
操作は、元になる画像ファイルと絵師を指定し、「描画」「停止」などのボタンをクリックするだけ。描画は、基本的に絵師まかせとなるが、唯一、キャンバスをマウスでクリックすることで、その近辺を絵師に描画させるという指示だけは出せる。描画は、大まかな部分から細かな部分へと順に行われ、現在、どの段階の描画を行っているかはメイン画面のアイコンで確認できる。ただし、「絵師のえそらごと」には「完成」という概念がないため、ユーザが停止を実行しない限り、いつまでもキャンバスに色を加え続ける。したがって、絵師の力量と描き込み具合を判断して、時宜に応じて描く場所を指定したり、停止させたりすることがユーザの役割となる。
絵師は、絵を描くにつれて次第に“成長”(変化)する。絵のタッチ、明るさの好みが変化し、また次第に油絵風、クレヨン画風などという自分の画風を持つようになる。はじめは心もとなかった技量も次第にアップしていくので、ユーザは根気よく絵を描かせることで、絵師を“育てる”という楽しみもある。
描画の途中で一時停止し、別の絵師を呼び出して、1枚の絵を複数の絵師で合作させることもできる。途中までできた絵に別の絵師のタッチが加わることで、新たな風合いを持たせることができるわけだ。このように、多彩な才能を持つさまざまな絵師を巧みに操って、ユーザ好みの絵画作品を仕上げさせることが「絵師のえそらごと」の目的といえる。
作成した絵は、題材とした画像の情報なども記憶する、独自のCNV形式で保存できるほか、BMP/JPEGファイルに出力することも可能だ。
なお、作者のホームページには、作成した絵が展示されている「えそら美術館」などがあるほか、さまざまな画風の「派遣絵師」データが用意され、ダウンロードして利用できる。えそら美術館に出品すると、作品の出来に応じてポイントを獲得できる。このポイントをためることで、描画方法を確立し、常に同じタッチで描いてくれる「マスター絵師」の派遣を受けることもできるようになる。