だが、このフレッツ・ADSLの独占状態に楔を打ち込もうとする強力なライバルが、つい最近登場した。「Yahoo! BB（ヤフー・ビービー）」である。このサービスは、アクセスラインとプロバイダ機能を一体化したサービスではあるが、フレッツ・ADSLの勢力を脅かすのに十分な数々の魅力を備えている。ここでは、注目度の高いこのYahoo! BBのサービス内容について解説しよう。

Yahoo! BBのサービスの魅力を簡単にいえば「低価格・高速」という二つの言葉に集約される。価格面でいえば、Yahoo! BBの月額利用価格は従来の音声電話とADSL接続を共用する「タイプ1」サービスで2,280円、ADSLモデムとスプリッタをレンタルすると550円の追加となり、2,830円となる。フレッツ・ADSLの3,450円に比較して600円ほど安い価格設定だ。しかし、フレッツ・ADSLがアクセスラインのみのサービスであるのに対し、Yahoo! BBはプロバイダサービスも含めての価格であるため、フレッツ・ADSLでは必要なプロバイダ費用は不要となる。

これらの諸費用を合計して1ヵ月あたりの支払額を計算すると、Yahoo! BBで必要となる費用はフレッツ・ADSLよりは大幅安価になるし、またそれ以外のADSLサービスと比較してもまだまだ安価だ。他社の対抗によって価格差が縮小しつつあるとはいえ、現時点においてもなお業界トップクラスの低価格ぶりなのである。

速度面では、Yahoo! BBが提供するADSLサービスでは、転送速度は下り8Mbps/上り900kbpsとなっている。他社の追随によって、この値はもはやめずらしいものではなくなってしまったが、いち早く8Mbpsという高速ADSLを導入し、広い範囲でサポートしたことの意味は大きい。もしYahoo! BBがこうしたサービスを始めなければ、他社はいまでも1.5Mbpsのままだった可能性もあるからだ。こうしてみるとYahoo! BBは、ADSL高速化の牽引役を果たしたといえるのではないだろうか。