「ひらがなナビィV3」は、子どもの年齢に合わせて、未学習の漢字をひらがなで表示してくれるWebブラウザ。漢字をひらがなに置き換えたり、漢字にふりがなを振ったりといった処理内容を指定することも可能。日本語能力試験の検定レベルに合わせ、漢字をローマ字で表示させることもできる。

漢字をひらがなに変換する設定には「学年別」「日本語能力級別」の2種類が用意されている。「学年別」では、小学校1年〜6年、中学生、高校生、さらに「（すべて）ひらがな」の計9種類から選択することが可能。小学校各学年の表記は、文部科学省の学年別漢字配当表に沿っている。「中学生」では常用漢字の一部が、また「高校生」では常用漢字外の漢字がひらがなで表示される。「日本語能力級別」では、1〜3級と「（すべて）ひらがな」から選択・設定できるようになっている。

表示設定は「学年別」「日本語能力級別」ともに、

• 漢字をひらがなに置き換える「ひらがなのみ」
• 漢字をひらがなに置き換え、文節ごとに区切って表示する「わかちがき」
• 漢字の後ろに括弧付きでひらがなを表示する「かっこ」
• 漢字にふりがなを振る「ふりがな」
• 漢字にマウスポインタを当てると、読みがポップアップ表示される「ふきだし」

「日本語能力級別」のローマ字表示では、変換対象となる漢字を、日本語能力検定の1〜4級と「日本語すべて」「漢字すべて」から選択することが可能。表示されるのは「ローマ字のみ」「ふりがな」「ふきだし」の3種類。ローマ字はヘボン式で表記され、長音は字上符文字となる。

ホームページやお気に入りの指定、前へ/次への移動や中止/更新といったWebブラウザとしての基本的な機能を利用できるのに加え、検索ページを指定してワンタッチで開いたり、ページを要約したりといったことも可能。ひらがな表示しないページを指定することもできる。

そのほかにも、

• URLやキーワードによるフィルタリング機能
• ユーザ辞書の設定機能
• Word/一太郎/テキスト文書を読み込み、ひらがなに変換する機能

しかし、そもそものことを言えば、「子どもは子ども向けサイトだけを見ていればよい」という考え方には疑問がある。ずいぶん子どもをバカにした話だと思うし、大げさなことをいえば、子どもの可能性を奪っているような気すらする。子どもだって大人用のサイトを読んでよいのである。そんなときに「ひらがなナビィV3」は大きな味方になってくれるだろう。

大人用のサイトといっても、いわゆる有害サイトを指しているわけではない（「ひらがなナビィV3」には、URLとキーワードによるフィルタリング機能も搭載されているので、最低限の対策にはなる）。どうも「子どもとインターネット」というと、閲覧を制限する方向にばかり話がいってしまう嫌いがあるが、「特殊なサイト以外はどんどんアクセスさせるべき」と考える筆者には、大いに好感の持てるソフトだ。

インターネットがまだ一般的でないころ、小学生の子どもに対して、インターネットを利用した調べもの学習を実施しました。当時は、いまよりも子どもが利用できるWebサイトは少なく、絵などの画像の多いページや英語サイトをメインに、リンク集のような形で利用しました。

小学生の子どもにとって、英語は未学習分野であることから、翻訳ソフトを併用してインターネットを取り入れることを試みました。未学習の英語でも、日本語に翻訳さえすれば、子どもでもインターネットを利用できるだろうという考えでした。

しかし、その結果として、小学生の子どもは、英語が読めない前に「まずは漢字が読めない」ということがわかりました。学習中は「この字なんて読むの？」「この字の意味は？」などの子どもの質問攻撃に始終し、調べもの学習どころではありませんでした。この漢字情報を取り去ることが、子どもにとって快適なインターネット環境を提供する第一歩になると、身を持って痛感しました。以上のような背景から「ひらがなナビィ」は開発されました。

幸いにも多くの小学校において「ひらがなナビィ」を取り入れていただき、ご意見・ご要望を加えながら、Ver.2でフィルタリング機能やローマ字変換表示機能を、Ver.3では要約機能やリンク集機能を搭載し、バージョンアップを図ってきました。

最新のVer.3-6では、これまで非対応だったUnicode（UTF-8）で記述されたページのひらがな変換表示に対応しています。