多彩なブラシを持つ高機能ペイントソフト。絵筆や絵具、用紙など、現実に存在する画材を模した描画機能を使って、手描き風の画像を簡単に作成できる。「Corel Painter」は、最近では少なくなった“実際の画材を模した手描き風の画像を作成する”ためのペイントソフト。多くのペイントソフトがフォトレタッチ機能を強化する中、ひたすら“リアルな手描き”絵の作成機能を強化してきた。新バージョン「IX.5」では、手描き風画像への変換機能などが追加されたほか、従来から定評のある機能も強化された。さらに、動作の高速化も図られた。
新しく追加された機能のひとつが、デジタルカメラで撮影された写真画像などをもとに、わずか3ステップで手描き風の絵を作成できる「フォトペイントパレット」機能。先行して発売された「Corel Painter Essentials 3」にも搭載された機能で、「下塗りペインティング」「自動ペインティング」「復元」の各ツールパレットを使用して、写真画像などから手描き風の絵を作成できる。
使い勝手の点では、「消しゴムツール」「クローンツール」「スタンプツール」がツールボックス内に新たに登録され、機能の呼び出しがスムーズになった。例えば、消しゴムツールは従来、ブラシツールの一機能として用意され、使い終わったあとは再びブラシの種類を選び直す必要があった。今回、ツールボックス内に移動したことで、消しゴムを使い終わったあと、再びブラシツールを選ぶだけで、元のブラシをそのまま使うことができる。
「クローンツール」「スタンプツール」も同様。機能を使用したあと、元の機能を選択し直す手間が減少し、スピーディに機能を切り替えられるようになった。
ハードウェアのサポートでは、Pentium 4やAthlonなどのCPUへの最適化がより進み、動作速度が大幅に向上した。(速度向上の度合いは機能によって異なるが)ブラシによっては10倍以上、全体の平均でも2倍程度の速度向上が図られたという。負荷の高いエアブラシも動作が軽くなり、同じCPUでも、より滑らかな曲線を描けるようになった。
従来からサポートされている筆圧検知タブレットでは、Wacom製「Intuos 3」のオプションペン「Intuos 3マーカー」に対応した5種類の「Art penブラシパック」が搭載された。
デュアルモニタのサポートも強化された。パレット、ツールバー、ツールボックスなどは、アプリケーションウィンドウの外部に移動できるようになり、デュアルモニタ時に「一方のモニタには作画ウィンドウ、もう一方にはパレット類を表示する」といった編集スタイルを選択できる。
互換性の点では、やはり「Corel Painter Essentials 3」と同様、ペイント/レタッチソフト「Corel Paint Shop Pro X」形式のファイルを直接読み込めるようになった。アルバムソフト「Corel Photo Album 6」に対しては直接、画像を送信できる。
用紙設定(ペーパーサイズやコントラスト、明度など)は従来、「Painter」を終了するとリセットされていたものが、保存されるようになった。毎回同じ用紙を使って作画を開始するような場合、再度設定を行う必要がない。
全体として使いやすさが大幅に向上し、より快適に作画できるようになった。