窓の中の物語は、テキスト形式/HTML形式のファイルを読むためのビューアソフト。HTMLの場合は、タグを自動的に削除して表示する。「青空文庫」形式のルビ付きテキストにも対応し、ルビの表示も可能だ。

文章を読むことに特化したソフトだけあり、表示方法についてはかなり細かな設定が行える。画面はフルサイズ表示/ウィンドウ表示のいずれかを選択でき、ウィンドウサイズも最低200×200ドットから最大はモニタ解像度の上限まで自由に指定することができる。表示書式は、縦書き/横書き/新書（2段組）の3種類から選択可能。文字組みは、フォントの種類、サイズ（8〜60ポイント/16段階）、文字間（0〜10ポイント）、行間（0〜40/22段階）、文字色、上下マージンを自由に設定できる。フォントで「自動ゴシック」「自動明朝」を選択した場合は、縦組み/横組みを切り替えた場合も、縦/横で形状が異なる「ー（オンビキ）」やカッコなどを自動的に切り替えて表示する。もちろん禁則処理もきちんと行われる。

そのほかにも「読む」という行為が、細部まで効果的にシミュレートされていることが特徴で、例えば、ページ移動にはマウスで紙の端をクリックすればよいが、このときページをめくるアニメーションと効果音（頁めくり音）が再生されるようになっている。めくり音は6種類が用意されているが、好みのWAVを使用することも可能だ。BGMとしてCDやMP3、MIDIファイルを再生させることもできる。

オンライン書籍を閲覧するための便利な機能に、移動バーがある。ファイル内での現在表示ページの「位置」を示すバーで、全体のどのあたりを読んでいるかがわかる上、バーをドラッグすることでページの移動が可能となる。現在位置を記憶してくれるしおりは30枚まで指定することが可能で、複数ファイルを通して設定することもできる。

オンライン書籍を配信するファイル形式には、エキスパンドブック、PDFなど各種があり、一長一短があるが、ユーザ側から見ると、ファイルサイズがいちばん小さくてすむテキスト形式がもっとも手軽で便利だろう。

窓の中の物語は、パソコン上で「読むための環境」として読みやすくなるように文字フォントやスタイル、文字詰めや文字間が自動的に調整されている。しかも、かなり細かな設定ができるので、その気になれば自分の環境や好みに合わせて、本と同じような読みやすさを追求していけるはずだ。また、本を読むという行為を忠実にシミュレートするための「アニメ」や「音」についてのこだわりは、窓の中の物語の特筆すべき点である。

各種テキストファイルに対応しているので、自分で読みやすいと思う書式とフォント、文字組み、文字色、背景などを設定しておけば、読みたいものを最適な体裁で読むことができる。例えば、ドキュメントやマニュアル、契約や規約の文書など、テキストをパソコンで読む機会の多い人には、利用価値が高いのではないだろうか。

クリップボードのテキストを直接開くことができるので、ワープロやエディタソフト、HTMLの画面から任意の部分だけテキストをコピーして、これを窓の中の物語で読めるのも意外に便利。ソフトのマニュアルや、サイトのドキュメントなどをちょっと読むときなどには重宝するだろう。

開発中に苦労した点
まともにソフトを開発するのははじめてだったので、とりあえず「HSP」というフリーで公開されている言語の力に頼って作っていたんですが、どうしても速度の面で無理があったので、一部分だけ解説書と格闘しながらC言語を使いました。

ユーザにお勧めする使い方
多くの人がめくり機能のある背景を使っているようなんですが、めくりのない背景も結構見やすいと思いますよ。