島川言成のベクター縦横無尽
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島川言成のベクター縦横無尽
 ソフトの値段と読者の見解など (02.08.12)

前回、失礼なことと知りながら、少し煽らせていただいた。その結果、心強い同胞がいることがわかった。そうである、投稿メールの耐乏が待望に変わったわけである。危機から嬉々となった。ウキキと笑った。別にサルになったわけではない(当然だ)。

まずは、鈴木宏志さんからのメールを紹介しよう。彼は現在、タイ王国に在住しているそうで、以前、オレのアキバ店員時代、ゲームをやっていたら上司に蹴りをいれられた話に同情してくれた。こんなことが書かれていた。

「バンコクでは、デパートなどのおもちゃ売り場に行けば、暇そうな店員がプレステなどで遊んでいる姿をよく見かけます。当たり前のようにやってるんです。うちの子どもは、それをやりたそうに後ろで見ていました。また、巨大なラジオ会館のような店がいくつかありますが、そういったところではショーケースの上で食事をとってることも、ごく普通にあります」

鈴木さんによれば、香港でも同様とのことだ。現在の日本を閉塞社会のように表現する人がいるが、オレはこのメールで勇気が出た。クソ真面目に仕事する態度を見せていれば、成果が上がらなくてもよい、みたいなビジネス文化を駆逐せよだね。

さらに、千駄ヶ谷でオンラインソフトを開発されている柴田さんの投稿メールを紹介しよう。ご当人は取りとめのない話と謙遜されているが、開発者に共通する濃密なため息のようなものを感じさせられた。

「私は一日中ソフトを作っています。単純明快なインタフェースを持ち、一目でおよその使い方が推測でき、なおかつ比類のないほど高機能、しかも大きなお世話の無駄な機能は一切なく、軽くてサクサク。あ〜んなことができます、こ〜んなこともできます、の汎用ソフトでありながら、なおかつあ〜んなことをしてくれます、こ〜んなこともしてくれます、の知能派ソフトを作りたい。一日中そのように考えています。いつの日か納得のソフトを……」

そういえば、やはりソフトウェア開発に勤しんでいる大嶋和人さんからも投稿メールが届いた。前回、このコラボコラムでソフトの値段について触れたが、ここにも同じテーマで悩まれている人がいたのであった。

「ソフトの値段ですが、自分でソフトを作ってみて、『このソフトいくらかな?』と思うのですが、なかなかわかりません。基準を何に持っていけばいいのか? というのが、正直なところだし、値段つけると敬遠されるかな? と思うし、値段をつけてみてもらうほど高級なソフトでもないかな? と作者としてはいろいろ迷います」

オレはゲームクリエイターを養成する専門学校でマーケティング講座を持っているのだが、ソフトの社会では、いわゆるモノの価値基準が該当しないこともレクチャーしている。通常の市場価格は、それ自身が持つ価値に平均的な利潤を付加した生産価格を中心に考えはじめるはずだ。それに社会的な要因から、需要と供給の変動が生じ、価格が上下する市場価格になるわけだ。一般に競争価格(需給価格)と呼ばれるものがこれに相当する。ほかに独占価格や管理価格という区別もあるが、ソフトの場合、価格決定の出発点となる“自身が持つ価値”が明確でないんだナ。

RUMAさんの投稿メールに移ろう。ソフトの適正価格に関して、次のような提案をしてくれた。

「ソフト価格は『永続使用料』、よくても『バージョンアップ権利料』という価格体系でしかないところが問題だと思います。デモを見たところで、よいところアピールされるので判断ができず、購入するにはリスクが高過ぎると思います。体験版が現在の解決策だと思います」

なるほど、アプリケーションソフトの価格を一定期間は配布手数料、以後は使用時間に合わせた課金システムにすれば、ユーザも納得してくれるかもしれない。ただし、この場合でも適正価格をいくらにするかの研究が必要だと考えられる。

最後に、高橋まきさんから「当サイトを縦横無尽に楽しんでいる」とのほのぼのPCライフを紹介するメールをいただいた。その中に

「いらないソフトって、どうやって削除するの?」

という質問があった。投稿メールの内容からして、Windowsマシンの様子だった。[コントロールパネル]から[アプリケーションの追加と削除]を開くというのではオーソドックス過ぎるだろう。この質問に対するユニークな回答を提案していただきたいと思う。投稿メールがどかすかくることを祈ってるぞ。

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