連鎖する夢

 またあの夢だ。赤1色の濃いコントラストの中で見たこともない連中が俺を取り囲む。ごつい禿頭のオヤジにヒステリックな感じの女、性別のよくわからない子供、生意気そうな犬などバラエティ豊かなラインナップだ。決まってそいつらは俺を見つめている。ただずっと、俺を、、、。いや、正確には俺の片眼だ。これまたお決まり通りに、その視線を受けると俺は目が暴れ出すような錯覚を覚える。いや実際に俺から離れようと動いているのがわかるほどだ。その視線に耐え兼ねて、脱兎のごとく逃げ出そうとするが足がもつれて上手く走れない。 
 
 もっと早く、早く、早く。

 そう思えば思うほど足はもつれ、終いにはその場に崩れてしまう。そんな俺を哀れむかのように、さっきの連中がまた取り囲む。

 いやだ、俺を見るな。誰なんだお前達は。俺がお前達に何をした?

 視線に対する恐怖と、理不尽な状況に発狂しそうになると、決まって遠くのほうから一組の男女が現れる。全身黒ずくめの銀髪の男、そしてウェーブのかかった長い金髪を持つ、こちらも黒ずくめの女。着ている服の色は同じではあるが2人から感じられる対極的な雰囲気は言ってみれば天使と悪魔のようだ。そして彼らは俺に対して問い掛ける。
 が、その問いかけは聞こえぬまま、俺は自我の崩壊を他人事のように感じていた。そうすると黒ずくめの男女どちらかが俺に対して改めて問い掛ける。
 今日は、女のほうだった。
 
 、、ない夢は覚めた?
 
 その瞬間、夢を包んでいた赤い色が消えうせ、同時に雪の荒野に放り出される。360度なにもない、白い大地。ただ吹きすさぶ雪が俺の周りを取り囲んでいた。さっきまでいた連中も影も形もなくなっている。俺は仰向けに倒れこみ、ひとり雪の上で冷たくなっていく。覚めない夢の意味を考えながら。
 そうしていると、お決まりのごとく、上空をぼろい船が走っていく。このご時世、あんな骨董品が宙を浮くとは、などと考えながら、機体にかかれた「BEBOP」の文字を漫然と眺めてながら俺は今日も死んでゆく。

作/頓服

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