A. D. 1999

 リビングのソファに横になりながら、フェイは、少しずつ自分の記憶を整理していた。
『1994年8月14日生まれ・・・ミレニアムを5歳で迎えたんだ・・・ あの頃のアタシの好きだったもの・・・なんだったかなぁ・・・?
 そうそう! 黄色くて、耳の長い動物みたいなの!・・・確かアニメで・・・アジアの片隅で作られたヤツ・・・あれ・・・あの名前・・・ あの黄色いの!・・・何て言うんだったかなぁ・・・』
こういう些細な物忘れというモノは、のどまで出かかっているのに、出てこない!
『あぁ〜! こんな大昔の事、誰に聴いてもわからないじゃない!』
フェイは、がばぁっ!と、身を起こし、あぐらをかいて、頭を掻きむしる。
しばらくは、こいつの名前を思い出すのに、苦しみそうだ。
 「おい、飯食うか?」
厨房からエプロンをつけたごつい男が顔をのぞかせた。
その頭を見て、フェイは、その大好きだったものの名を思い出した。
「はい、、は〜い!」
思わず口元を緩めて、彼女は小声でつぶやいた。
「そうだ、ピカ・・・、そうそう、この名前!」
とりあえず、くだらないことのようであるが、彼女にとっての重大な悩みの一つが解消された。

作/かまかま

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