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梅雨に入ってから、
ずっと、
ずっと、
雨が、降っている。
僕は鶴を折り、
 あの人を待ちわびている。
鶴の折り紙は
 湿気を吸って少しだけ滑る。
たまに過去がよみがえって、さぁ、
 胸が軋むんだ。
夏が来るたびに、
 鳴き声を想い出す。
涙に似た、鳴き声を。
夏が繰り返す。
 一つずつ、時が繰り返す。
母との確執を抱いたまま、
 家を飛び出した「僕」
母の見せた無関心さに、
 狂いそうになるほど
 呪いと憎しみを抱いた。
それでも、憎んでいるはずなのに、
 嫌っていたはずなのに、
 「母」の愛を一身に受けた
 「彼」を、拒めない。
「彼」が訪れるたび、セミが鳴く。
彼につけた傷跡を、何度も何度も、
 「僕」は悔やみ―…
鶴を折りながら。
 母の教えてくれた、鶴を折りながら、
 時が流れていく…。
ヒューマニズムと、喜劇。
孤独な短編えほん。
| ソフト名: | だから、どうか、傍にいて | 
|---|---|
| 動作OS: | Windows XP/Me/2000/NT/98/95 | 
| 機種: | 汎用 | 
| 種類: | フリーソフト | 
| 作者: | ベンジャミン |