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ベクターソフトニュース - 1999.09.15
MIDI Espressivo MIDI Espressivo Ver.1.02
さまざまエフェクトでMIDIを表情豊かにできる“MIDIのレタッチソフト”
Windows 98/95 シェアウェア
「MIDI Espressivo」の動作画面
■メイン画面。範囲を選択してエフェクト、が基本的な使い方

MIDIファイルを読み込み、さまざまな効果を加えることを専門とする、いわば“MIDIファイル専用のレタッチソフト”。 MIDIファイルのエラー検出や、冗長データの削除機能なども持つ。

作業は、既存のファイルを読み込むことから始まる。編集専門のソフトであり、一般的な「MIDIシーケンサ」のように、新規に曲を入力する機能などはない。サポートするファイルは標準MIDIファイル(.MID)ファイルなので、他の多くのMIDIソフトで作成したデータを読み込むことができる。ファイルを読み込むと、トラックおよび小節が表形式で表示されるので、効果を加えたい範囲を選択してEffectメニューから希望する効果(エフェクト)を選ぶ──というのが基本的な使い方となる。もちろん、選択範囲を再生して内容を試聴することなども可能だ。

「MIDI Espressivo」でのエフェクトとは、元のMIDIデータのパターンに応じて、ある決まった効果を適用できるように定義する、というもので、エフェクトエディタを用いて作成できる。エコーなど、かなりの数のエフェクトが最初から付属しており、これを試してみるだけでもおもしろい。同梱されているサンプルエフェクトの一例を挙げてみると、「tail-benddown1」というエフェクトでは「ノートの最後で音程を下げます。独立した、長いノートに適用されます。効果はノートの最後の0.2秒にかかります」といった具合。複数のエフェクトを「エフェクトグループ」としてまとめることができ、グループ内のエフェクトはバッチ処理のように連続実行させることが可能だ。

reviewer's EYE MIDIを使った曲入力などを行った経験がある人ならわかると思うが、曲の旋律を作曲、あるいは入力しただけでは、できあがる曲はなんとなく平板で、聞いていてもまったくつまらないものになることが多い。それはそうだろう。インパクトのある曲というのは、主旋律はもちろん、リズム音など、主旋律以外のさまざまな伴奏が必要となるし、リバーブ(残響効果)に代表される演奏時テクニックだって必要だ。

「MIDI Espressivo」はこのうち、エコーやリバーブといった、旋律作成以降の演奏技術的な効果を補助してくれるツールだ。こうした効果を加えるには、単にメロディを作るだけではない、さまざまな音楽的素養が必要となるもの。そのようなノウハウが「エフェクト」という形でデータベース化されているため、その方面の知識に疎い人でも、曲にさまざまな表情を付け加えることができる。

ただ、エフェクトエディタを使って、エフェクトを作成する場合はちょっと話が別になる。「MIDI Espressivo」でのエフェクト作成には、MIDIに関するかなり専門的な知識が必要になるからだ。付属するエフェクト集にもかなりのバリエーションがあるが、効果を作成する人、その効果を使う人、それぞれの分業がうまくできるかどうかが、「MIDI Espressivo」を使うカギとなるだろう。
(天野 司)


スクリーンショット》 ピアノロール画面。この画面からでもテスト再生が可能
スクリーンショット》 エフェクトエディタ画面。MIDIに関する専門的知識が必要
スクリーンショット》 作成した効果は、グループ分けしてメニューに追加できる


【作 者】 Mag. さん
【作者のホームページ】 http://www.cisnet.or.jp/home/magari/
【シェアレジ作品番号】 SR013217
【補 足】 使用期限は特に設定されていないが、2週間を目安に
ソフト作者からひとこと
■ソフトを開発しようと思った動機、背景

MIDIファイルを作るにあたり、苦労するのはベタのデータをいかにそれらしく聞こえるように細工することです。直線的なパラメータの変化は比較的簡単にできますが、そうでない場合はマウスで正確な形を書かなければならず、なかなかストレスがたまります。また、音程←→ピッチベンド、Tick←→実時間の変換も面倒臭いです。私が主に使っているシーケンサ(Cakewalk)には簡易言語が付いていますが、「Cだったらあれができるのに」と思うこともしばしばです。そこで「MIDIのレタッチソフトのようなものはないか」といろいろ探しましたが、どこにもありません。なければ自分で作るしかない、と作りはじめました。

■開発中に苦労した点

基本設計に時間をかけたので、ある程度形ができたあとは楽でしたが、苦労したのはMIDIの再生でした。最初はストリーム再生ライブラリを使っていたのですが、エラー発生時の動作が不安定なので結局イベントをすべて自力で処理するように書き換えました。

MIDIの規格はほとんど細かいことが決まっていませんが、歴史が長いだけに「暗黙の掟」が多く、仕様だけでは全然物作りができない点も苦労しました。音楽屋さんとソフト屋の思想の違い、などというのも感じます。この点はいまも苦労しています。楽しい苦労ですけど。

あとは私のミスで毎回終了時にコンパイラがハングして、Windowsをハードリセットしなければいけない状態がしばらく続いたことでしょうか。ちょうどコンパイラのバージョンアップと時期が重なったためどちらが悪いのか分からず、苦労しました。このあたりの私のボヤキは サポート掲示板 に残っていると思います。

これは苦労ではないですが、βテストの段階でプロの方からいろいろアドバイスをいただき、 機能追加、変更を行いました。最初の予定では6月半ばにリリースできるかと思っていましたが、2ヵ月近く遅れてしまいました。

■ユーザにお勧めする使い方

「MIDI Espressivo」はかなりの達人の方でも使っていただけるように設計しています。その分初心者の方にはちょっととっつきにくいかもしれませんが、噛めば噛むほど味が出てくるはずです。最初は添付のエフェクトでいろいろ遊んでみて、少しずつ自分で編集してみてください。パラメータのエラーチェックなどは極力やっていませんが、これは私が思いもしなかったようなエフェクトをユーザが作るかもしれない、という思いがあるからです。期待しています。

また、エラーチェック機能はMIDIファイルを配布するのにも重宝すると思います。いままで何の問題もなく聞いていたファイルに、思いがけずエラーが出るのに驚かれると思います。

■今後のバージョンアップ予定

今後は、
  • エフェクトエディタの追加
  • 独立エディタ(ポルタメントエディタのような)の追加
  • エラーチェック項目の追加
  • sysExのハンドリング
などを考えています。「こんな機能がほしい!」というご希望がありましたら、ぜひ教えていただきたいです。

世の中にはいろいろと優れたシーケンサがあるのでシーケンサを目指すつもりはありませんが、現状ではちょっと不便なので、簡単な編集はできるようにしたいと思っています。
(Mag.)
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