外国からのラジオ放送(主に短波による国際放送)を受信して番組を楽しむBCL(Broadcasting Listening/Listener)は、1970年代にブームとなり、当時、短波放送を受信できる高性能ラジオがいくつも発売された。私も月1,500円のお小遣いとお年玉を合わせて、何とかSONY「ICF-5900(通称スカイセンサー)」を手に入れて、番組表とにらめっこをしながら放送開始を待ったものだ。イギリスBBC放送の「ビッグベンの鐘の音」や、ラジオオーストラリアの「笑いカワセミ」の声、アメリカKGEIの「This is KGEI、San Francisco California The United States of America」というオープニングを、胸をわくわくさせて聴いた。雑音も多く、まったく受信できない日もあったが、遠い異国から届く放送に、さまざまな想像を膨らませたものだ。
受信後は受信時間、受信周波数、受信状態(SINPOコードで表記)、受信機やアンテナの状況、放送番組の概略と感想などを書いて放送局に送り、受信確認証(Verification Card、通称ベリカード)を返信してもらい、それを収集することが趣味だった。
前置きが長くなったが、インターネットでは多くのラジオ放送が行われている。IP(インターネットプロトコル)を用いてデータを送信するため、電波を用いたときのように混信や雑音とも無縁だ。何か寂しい感じもするが、技術の進歩は喜ぶべきことなのだろう。
さて、私は、インターネットのラジオ放送を聴くときにはブラウザを用いていたが、忙しいときや、何か別のことをしながら聴くときには、専用のプレイヤーが便利。そこで出合ったのが「RadioSure」だ。
「RadioSure」は、30,000弱のインターネットラジオ局がプリセットされたインターネットラジオプレイヤー。シンプルなインタフェースで、戸惑うことなく使える点が魅力だ。
起動すると、ラジオ局のタイトル、国名、放送ジャンル、言語が一覧表示され、聴きたいラジオ局をダブルクリックして選択すると接続されて、すぐに再生される。アメリカのカントリー&ウェスタンを放送しているラジオ局を選べば、西部劇の風景が、またジャマイカのレゲエを放送しているラジオ局を選べば、青い海が目に浮かんでくる。
国名やジャンルなど、項目(フィールド)名をクリックすれば並べ替え(ソート)も行われ、目的とするラジオ局を見つけやすくなる。画面左上の検索ボックスにキーワードを入力し、絞り込み表示することもできる。検索ウィンドウはインクリメンタルサーチに対応し、文字を入力するごとに検索結果が絞り込まれてゆく。
英語版のソフトなので、タイトルバー上で右クリックし、Language→Japaneseの順に選択して、インタフェースを日本語化しておくとよい。
気に入ったラジオ局が見つかったら、「お気に入り」に登録しておけば、簡単にアクセスできるようになる。しばらくはさまざまなラジオ局の放送を楽しみ、慣れてきたらカスタマイズを行ってみよう。
タスクトレイの常駐アイコンを右クリックし、「イコライザー」コマンドを利用すれば、再生する曲に合わせて音域を最適化することが可能。イコライザーは「ジャズ」「ポップス」「ロック」「クラシック」から選択できる。
「Sleeptimer(スリープタイマ)」機能を備え、5、10、15、20、30、60、90、120分のうち、指定した時間が経過したのちに「RadioSure」を自動終了させることもできる。ラジオを聴きながら眠るときに便利だ。
作者のホームページにアクセスしてスキンをダウンロードすれば、スキンを変更して、好みの外観に変更することもできる。
再生中の番組を録音する機能も備える。録音をスタートしてからストップするまでをファイルとして保存する以外に、トラックごとに分割保存することもできる。現在のトラックだけを録音し、トラック終了時に録音状態を自動解除することも可能だ。
そのほか、新しいラジオ局を一覧に追加登録する機能やホットキーによる操作機能など、さまざまな機能を備えている。
ぜひ、一度使ってみて、異国の香りを耳で感じていただきたい。