「PodCOPY 5」は、iPod/iPad/iPhone内の音楽や動画、写真、ゲームなどのデータを、ワンタッチでパソコンにコピーできるソフト。アップル純正のiTunesのように、パソコンからiPod/iPad/iPhoneへの“一方通行”の同期だけでなく、iPod/iPad/iPhoneからパソコンにデータをコピーすることも可能。双方向の同期を行うことができる。iOS 4.01がインストールされたiPhone 4にも対応する。DRM（Digital Rights Management：著作権管理機能）で保護されたデータをバックアップすることもできる（DRMの制限に準拠する）。

「PodCOPY 5」を利用すれば、パソコン側にデータが存在しない場合でも、iPod/iPad/iPhoneのデータをパソコンに“吸い上げる”ことができる。例えば、OSの再インストールやパソコンのリプレースなどでパソコン側のデータが失われた状態でも、データを復元することが可能。複数台のマシンでパソコンを同期させるのにも便利に使える。MacのiTunesでiPodに転送したデータと、Windowsパソコンのデータとを同期させることも可能だ。

バックアップできるのは、音楽や動画、PodCast、静止画、iPodのゲームタイトルなどのデータ。iPhone 3GS/4では、内蔵カメラで撮影した写真や動画などを転送することも可能だ（動画はパソコン側からの転送のみ）。（ごく一部の機種で転送できないデータがあるなど、多少の制限はあるが）基本的にはiPod/iPad/iPhoneの対応するデータであれば、ほとんどのものを転送できる（iPod/iPhone/iPadの世代別対応バックアップ範囲は、作者のホームページからダウンロードできる「PodCOPY 5」iPod/iPhone世代別対応表で確認することが可能）。

DRMで保護された音楽や動画などのデータ転送にも対応し、DRM保護されたデータのバックアップ用途としても利用できる（DRM保護を解除するわけではないため、転送されたデータの再生は、許可された機器でのみ行える）。

データの転送は、音楽や動画をファイル単位で指定する手動転送のほか、すべてのデータを一括転送する「バックアップ」でも行える。さらに曲名、アーチスト名、アルバム名などでiPod/iPad/iPhone内のファイルを検索し、見つかったファイル群を一括転送する「検索結果をプレイリストとして登録」や、特定のプレイリストに登録された楽曲を一括転送できる「プレイリストのコピー」といった機能も用意されている。

アップル社以外のプレイヤーでもこの事情は大きくは変わらない。例えば、ソニーのウォークマンであれば「SonicStage」と呼ばれるソフトを使ったり、Windows Media系のプレイヤーでは、Windows Media PlayerやBeatJamなどを使ったりする。一部の製品では、エクスプローラを利用して、楽曲ファイルをプレイヤーのメモリ内にドラッグ＆ドロップするだけで使えるようにするものもあるが、全体として見れば少数派だ。

同種の転送ソフトは、パソコンから楽曲データをプレイヤー側に転送する機能を持つが、逆にプレイヤー内のデータをパソコン側に吸い上げる機能はないものがほとんど。おそらく著作権上の配慮だろうが、こうした仕組みは、1台のプレイヤーを複数台のパソコンと接続して使う場合には問題となることが多い。

例えばiTunes。コンピュータAでiPodにデータを転送（同期）後、今度はこのiPodを他のコンピュータBに接続して同期操作を行う。このとき操作方法によっては、せっかくAで転送したデータが消去されてしまうことがある。というのは、iTunesの同期では、iPodの内容をパソコン上のiTunesの内容と同じにしようとするために、コンピュータBのiTunes上にない楽曲データを消去してしまうからだ。

同期の際に注意して、もともとiPod上にあるデータを消去しないようにすれば、この問題は回避できるが、うっかりミスでデータが消えてしまうのは恐怖だし、そもそもiTunesにはできない「iPodからパソコンへのデータ転送」さえできれば、こうした悩みもなくなる。

「PodCopy 5」は、まさにこうした悩みを解消してくれるソフトだ。パソコン上にデータがなくても、iPod/iPad/iPhone上にデータがあれば、これをパソコンに逆転送し、iTunesに登録できる。このためiTunesでうっかり同期しても、上で述べたようなデータ消失を招くことがない。もちろん、ほかにもメリットは数多くあるが、この点だけでも、iPod/iPad/iPhoneユーザには非常にありがたいのではないだろうか。