「CrossOver Mac」は、Windows互換APIを利用することにより、Intel Mac上でWindowsアプリケーションをネイティブに動作させることを可能にする互換レイヤ。Windows OSのインストールは不要で、動作が軽快なことが特徴。新バージョン「9」では、アプリケーションのインストール/実行に必要な情報が記述されたXML形式の「C4P（CodeWeavers CrossOver Compatibility Center Profile）」ファイルに対応したことで、必要なコンポーネントなどが自動的にインストールされ、簡単に使用できる状態を作れるようになった。インストーラの選択とボトルの設定を一度に行えるよう、インタフェースも改善された。

インストールは簡単。「CrossOver Mac」が正式対応する「サポートアプリケーション」と、「未サポートアプリケーション」がリストに一覧表示され、ユーザがアプリケーションを選択することで、インストールに必要な設定が自動的に行われる仕組み。CD/DVDのAutorunにも対応し、インストールディスクをセットすれば、自動実行される。

Windowsアプリケーションの実行環境（インストール先）は「ボトル」と呼ばれ、インストールの際にWindowsのバージョンを指定して作成する。異なるバージョンのWindowsシミュレート環境を共存させたり、同じバージョンを複数、共存させたりすることも可能。例えば、Windows Vista対応のアプリケーションとWindows 98対応のアプリケーションとを同時に起動して、操作することもできる。

Windowsアプリケーションの起動は、（1）「CrossOver Mac」のメニューから選択、（2）Dockのアイコンメニューから選択、（3）「CrossOver Mac」フォルダに登録されるアプリケーションアイコンのクリックのいずれかの方法で行える。アプリケーションの起動中は、他のMacアプリケーションと同様、Dockにアイコンが表示される。

そのほかにも環境設定により、

• WindowsのCD/DVDの処理（実行する/しない）
• Windowsアプリケーション−Macアプリケーション間でのクリップボードの共有
• 左右の【option】キーの【Alt】への割り当て

筆者がグループ作業で使っている暗号化ソフト（「アタッシェケース」）を試してみたとろ、Windowsで対応しているドラッグ＆ドロップ操作は行えなかったが、メニューからの操作は問題なく行えた。そのほか「MyBook Editor for Win」というオンラインソフトも基本的に正常に動作した。わずか1分の作業をするためだけにWindowsパソコンを起動させる手間を省くことができ、便利だ。

また、新しいインストール方法が採用され、「CrossOver Mac」上で動作するアプリケーションの可能性が広がりました。「CrossOver Mac」が正式にサポートしているすべてのアプリケーションのインストール情報は、「CrossOver Mac」と一緒にインストールされますので、使用したいアプリケーションがアプリケーションリスト内にあれば、すぐに使用できます。必要なライブラリやコンポーネントも、選択してボトルにインストールすることができるので、以前のバージョンよりも動作させる環境を構築しやすくなりました。

そして「C4P」と呼んでいるファイルで、アプリケーションのインストール手順や設定を記述できるようになりました。C4PファイルはXML形式のファイル（「レシピー」と呼ばれています）で、あるソフトウェアパッケージをインストールし、実行するために必要な情報がすべて記述されています。

C4Pファイルの採用により、もし「CrossOver Mac」のアプリケーションリストに、動かしたいアプリケーションがなかったとしても、「CrossOver Mac」開発元のCodeWeavers社のサイトでそのアプリケーションのC4Pファイルが公開されていれば、いままでよりも簡単に未サポートアプリケーションをインストールすることが可能です。

CodeWeavers社のサイトでは、現時点で170を超えるC4Pファイルが公開され、常に新しいファイルがアップされています。C4Pファイルを使ったインストールは体験版でも可能ですので、ぜひ使ってみてください。

より使いやすくなった「CrossOver Mac 9 Standard」をどうぞお試しください。