「ノートン 360 バージョン 3.0」は、

• ウイルス対策、スパイウェア対策、ファイアウォールといった、パソコンを安心して利用するために必要となる「セキュリティ対策」機能
• ディスクのバックアップや復元などの「データ保護」機能
• パソコンの高速化やディスク使用量の削減といった「パソコンの環境改善」機能

シマンテック社の得意とするセキュリティ対策機能では、システム全体の処理速度をほとんど低下させることなく、セキュリティを高度に確保できるようになった。ウイルス対策はもちろん、スパイウェアやワーム、フィッシング詐欺への対策、ネットワーク経由での侵入を防止するファイアウォールなど、パソコンのセキュリティを守るために必要なほとんどの機能が、パソコンを使用している間、常に有効となる。ネットワーク経由での外部から侵入や、悪意あるユーザが外部から勝手にパソコンを操作する「ボットネット」に対しては、動作を自動的に検出し、パソコン内の個人情報の漏洩防止や不正使用の防止を行ってくれる。

最新のウイルスに対応するためのパターンファイルは、バックグラウンドで自動的にチェック/ダウンロードされるようになった。これにより、ユーザがパターンの更新を意識することなく、常に最新のパターンを使用して、ウイルススキャンを実行できるようになった。

ユーザを不正なWebサイトに誘導して個人情報を盗み出す「フィッシング詐欺」に対しては、不正サイトを自動的に判定し、アクセスを禁止することで被害を防止する。キー入力を監視することでIDやパスワードを盗む「キーロガー」には、マウスでワンクリックするだけでIDとパスワードを自動入力する「IDプロテクション」機能で対応。「IDプロテクション」では、ID/パスワードが安全に保存され、ユーザのID/パスワード忘れも防止できる。

データ保護機能では、Office文書や画像、音楽、電子メールやブラウザのブックマークなどを定期的にバックアップすることが可能。バックアップ対象は、セットアップ機能で簡単に指定できる。バックアップ先としては、DVDなどの書き込み可能なメディアのほか、シマンテック社の提供するオンラインストレージを利用することも可能。ストレージ容量は2GB（プレミアム版では25GB）と十分だ。バックアップスケジュールは週ごと、月ごとといった定期実行のほか、自動設定を選択することも可能。自動設定を選択すれば、バックアップが必要とされる時期を「ノートン 360」が自動的に判断し、データを保護してくれる。

パソコンの環境改善機能では、立ち上げ時に自動起動されるプログラムをOFFにして、起動時間を短縮させる機能が新たに加わった。不要な一時ファイルを自動的に削除し、さらにハードディスクのデフラグを定期的に実行して、プログラムの動作速度を改善する機能も強化された。

だが、これらの対策機能はいずれもパソコンの「安全を守る」ための機能であり、最近ではどの機能も「セキュリティ対策」として一緒くたにされている。たしかに、セキュリティ対策ソフトが登場したてのころは、ウイルス対策ソフト、スパイウェア対策ソフト、迷惑メール対策ソフトなど、それぞれ個別の製品として販売されていたこともあったので、それらが統合されたといえばその通りなのだが、しかし、どのソフトも統合ソフトになってしまった結果、なんとなく「セキュリティ対策」という単機能ソフトとして扱われつつある。

これに対して「ノートン 360 バージョン 3.0」では、「セキュリティ対策」「データ保全」「パソコンの高速化」という、かなり分野の異なる機能が統合されている。パソコンの高速化やバックアップなどは、それぞれが単独で製品として成り立っている分野であるだけに、異分野のソフトをまさに“統合”したという印象が強い。

ただし、どの分野も常時あるいは定期的に実行しなければならない種類の機能が揃っている。実はこのような「定期的に実行するタイプ」のソフトは、複数の機能が同時に働いたときなどに問題が生じることも多いのだが、「ノートン 360」のように統合化されていれば、そうした問題は生じない。これは大きなメリットだ。異分野であるが、統合することのメリットは大きい。